問題は実際的なものと原理的なものに分けて考えられる。書評によれば英国では「治安上の懸念」として浮上した。確かに眼しか出していない服 ( ニカブ ) では男女の別を隠すことも容易だし、ゆったりした服なので小銃を所持していても分からない。現実に今以上にイスラム過激派のテロが頻繁になったら公共の場 ( 街頭や交通機関など ) での着用制限はある程度止むを得ないだろう。
公教育の場でのヴェール着用はもっと厄介な問題である。スカーフ程度なら実害はないが、ニカブなどとの間の何処に線を引くかは難しい。その上フランスのように公教育から宗教を文字どうり追放した国では原理からして特定の宗教にだけ寛容にはなれないだろう。他方、フランスほどには政教分離が徹底していない国では「外来宗教」?の扱いの不平等という問題が生ずるだろう。
私自身ロンドンの街角でニカブ姿の女性?と出会ったとき、強い違和感 ( むしろ衝撃 )を禁じ得なかった。昔から住むマイノリティ民族と最近の移民とでも一般の受け取り方は微妙に違うだろう。最近は少なくとも先進国では多文化共生が理念として受け入れられつつあるが、多数派民族の側の受容努力とともにマイノリティ ( とくに新移民 )の側も新しい仲間との間の差異縮小の努力を一定程度必要とされるのではないか。今のまま移民の激増だけが続けば社会や政治の保守化さらには非寛容化は確実に進むだろう。ゲルマン民族至上主義のナチスが選挙を通じて政権に到達したことを忘れるべきではない。
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