2015年3月29日日曜日

議会政治の作法

今朝の朝日新聞に二人の政治学者の対談が掲載されているが、杉田敦法政大学教授の議会政治理解の浅さに驚かされた。

安倍首相の政治姿勢を批判するのは自由であり、当然の権利である。私も首相が議場でヤジを飛ばすのがdecentだとは思わないし、ましてその内容が誤りであったりすれば ( そうらしい )、お粗末としか言いようがない。しかし一般論として言えば、教授の「行政を監視する役割を持つ国会で首相と質問者の関係は、口頭試問を受ける受験者と面接官のようなもの」との比喩は少なくとも一面的である。

英国の議会政治を確立したとされる19世紀の下院で自由党内閣の首相を長く勤めたグラッドストンは、同僚により「反撃において強烈である」と評された( 神川信彦『グラッドストン』潮出版社 ) 。いい加減な知識で首相を批判すると倍返し?に会うということである。ある時の保守党のディスレイリの「舌鋒は、議会の礼節をはるかにこえたすさまじいもの」( 同 )であり、批判されたピールの弟が決闘を申し込むほどのものだった。

議会政治とは元来、剣による闘いを言論による闘いに進化させたものであろう。昨今テレビ画面で誰でも見ているように英国の下院の議席は与野党が対等に向き合っており、その間隔は剣先が届かない距離だったと言われる。後者は出来過ぎた説のように私は思うが、議場の討論は闘いである側面を忘れた議論はいただけない。論戦は与野党対等であるべきで、どちらの発言内容が正しいかこそが問われるべきであろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿