北陸新幹線を取り上げた「天声人語」の書きだしは松本清張の『ゼロの焦点』についてだった。その頃と今では何れだけ金沢近辺が近くなったかへの言及だが、現在からふりかえって小説 (1959 )や映画 (1961 )が発表された時代への郷愁?も感じられた。
清張の推理小説の傑作としては『点と線』の方が言及されることが多い。ミステリー小説ファンでない私としては反論できないが、時代色の濃い『ゼロの焦点』の方が私は好きだし、作者も自作の第一に挙げているとか( Wikipedia )。有馬稲子や久我美子主演の映画に心を動かされ、私は能登金剛の巌門を2度訪ねた (清張の心打つ歌碑がある )。脚本が橋本忍と山田洋次だったとはこれまで知らなかったが、矢張りと感ずる。
粗筋は、むかし立川基地あたりの米兵相手の売春婦で今や金沢あたりの名流夫人となっていた女性が、自らの汚辱の過去を知られそうになり、相手を殺すというもの。浅はかといえば浅はかだが、戦後の窮乏時代、生きるために賤業についた主人公を裁ける人がどれほどいるだろうか。加害者も被害者も不幸な時代の犠牲者と思える。
約20年のち、私は立川基地の米人の車に追突された。相手が白人と気づいた瞬間から何故か下手な英語が口をついて出た。本当は相手を困らせるため日本語を使うべきだったと後で反省?したが、後の祭りだった。かなりの被害を完全に修理した日本人の職人わざには脱帽だった。
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