2015年3月11日水曜日

メルケル訪日の意図

、メルケル独首相が嵐のように訪日し離日した。首相在任、はや九年とか。戦後日本の首相の誰よりも長期政権である。それほど有能なのだろう。うらやましい限りである。しかし、福島の原発事故のあと従来の方針を一変して原発廃止を決断したのは、彼女の指導力とともに国情の違いもあろう( 日本なら決定までにあちらに相談し、こちらと協議しとなったろう )。西ドイツ時代になるが、社民党出身のシュミット首相も八年間在任して強いリーダーシップを発揮したが、その間議会での与野党の議席差が二桁になったことは一度もなかったと聞く。日本だったらその間何人の首相が交代しただろうか。一票差でも多数は多数と認める政治的風土がなければリーダーシップの発揮のしようも無かっただろう。

彼女の訪日の目的は、これまで訪中は七回なのに訪日は二回というアンバランスの是正や、6月のサミット主催国ドイツの首相としての根回しなどもあろうが、ウクライナをめぐって日独協調を目指すこともあるようだ。米国はロシア制裁に最も熱心であり、ウクライナへの重火器援助をちらつかせているが、ドイツやフランスはそこまでのロシアとの対立を望んではいまい。北方領土問題を抱えロシアとの対立を避けたい日本はメルケル首相にとり潜在的な味方である。ぜひ本心を確かめたかったのだろう。

そのためかどうか、彼女は長い演説でも歴史認識問題に言及せず、日中韓三國の関係への助言はしないとことわり、記者の誘導質問を受けてやうやく発言した( 一紙だけ読んでは、飛んだ誤解をする だろう )。過去にきちんと向き合うという当然のことを述べたが、隣国フランスが寛大だったことも一因と挙げた。日中韓三國の反省を迫ったシャーマン米国務次官の発言に日本びいきだと猛反発をした韓国メディアはメルケル発言にも猛反発するだろうか。それとも大使受難事件の後ゆえ素知らぬ態度で過ごすだろうか。

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