2015年3月18日水曜日

ウクライナ併合一年

ロシアによるウクライナ併合 ( ロシアからでは復帰 )から一年たち、プーチン首相の核戦争準備発言がメディアの一斉批判を浴びている。しかし、プーチンが「クリミア情勢がロシアに思わしくない方向に向かったとき」(3月16日 『朝日』夕刊)を考えて準備したとすれば、その発言は無神経だとしても原爆所有国首脳なら当然考えられることで、騒ぐに当たらない。問題の本質はクリミア併合が正当か否かである。

親西欧派による2004年の「オレンジ革命」は、不正選挙に怒った民衆がデモやストで ( 流血なしに )再選挙を勝ち取った革命だった。したがってロシアにとって何れほど不快であっても干渉出来なかった。しかし、去年の場合最近のテレビの再生画面を見てもデモでもストでもなく、仮にも選挙で選ばれた政府に対する暴動ないし反乱 (死者百名とか )だった。新政権がNATO加盟を目指すことが十分予想される以上、ロシアが指をくわえて見過ごすことはできなかったのは当然でもある。セバストーポリ軍港を含むクリミア半島は百数十年前からロシア領であった。もはや軍事上もイデオロギー上も危険とは言えないキューバに対し、百年前に租借したグアンタナモ基地を返還しようとしない米国がロシアを批判できるのだろうか。

その重要度でクリミア半島と比較すべきはグアンタナモ基地以上に、真珠湾軍港を持つハワイであろう。米国によるハワイ併合過程と日本による朝鮮併合過程とはよく似ていると何かで読んだ記憶がある。それでも私はハワイをハワイ人に返せとまでは言わない。ただ米国は自国の行なった不正には盲目であると言いたいだけである。

プーチンの核戦争準備発言に関して言えば、日本は唯一の被爆国としてこの問題に抗議する特別の権利ないし義務を有すると一部の日本人は考えるようだ。思い上がりではなかろうか。もし権利があるとすればそれは国際法 ( 交戦法規 )に反して原爆で民間人を大量殺害した米国に対してだが、上記の主張をする同胞の考えはそこには無いようだ (私も今更それを問題にしろと言うのではない )。義務に関して言えば、被害者である日本人が何らかの義務を負うとは不思議な主張である。それでは中国人は日中戦争中の被害に対し日本人に何らかの義務を負うことになりかねない。私にはとても理解できない理屈である。

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