2017年7月2日日曜日

香港の憂鬱

 香港返還20年の記念式典があり、習近平主席が出席して強硬な演説をした。20年前の式典では未だ香港人の間に祝賀ムードも感じられたが、今度は親中派にさえそうした空気は乏しいようだ。無理もない。

中国は「一国二制度」で50年間は香港の自由主義経済や自由な言論を認めると約束した。本土自体が市場経済を大幅に採用したので経済面での約束は守られたが、自由な選挙は許されず、言論の自由にも暗い影が迫っている。昨日の反中国デモの人数6万人超は主催者発表なので他国の場合と同様その半分程度と見るべきだろうが、それでも人口数百万人の国ではけっして少ない人数ではない。

今回の習近平主席の香港人へのあからさまな威嚇は彼個人の問題ではあるまい。この秋の共産党大会を前にして江沢民派などの反対派に乗ぜられないための非妥協性という面も重要であろうし、何より、領土を失った指導者との評価を恐れるのはどんな政権の場合でも同じだろう。とくに国民の支持に自信が持てない独裁政権の場合そうだろう。

残念なことだが今日、香港住民の民主と自由のために大国中国に楯突く国は出ないだろう。彼らがあくまで自由人として生きたければ海外移住しかあるまい。同文同種という点では台湾移住が最適だが、台湾自体の地位が不安定と言うなら米国、カナダ、オーストラリア移住だろうし、もし日本を選ぶなら私は政治難民として歓迎する。

東アジア人、少なくとも中国人、朝鮮人、ベトナム人らは過去に我々と同じ漢字を使用し、程度の差はあるが同じ儒教文化を受け入れた。観光地の中国人は服装などで何となくそれと分かることが多いが、生活態度などはそのうち改まるだろうし、二世、三世となったら我々と何の変わりも無くなるだろう。私には中国本土の民主化が簡単に実現するとは思えない。

P.S.   前回のブタペストはブダペストの誤り。「ドナウ川」は「ドナウ河」がベター。iPadにカナで入力したら「川」が最初に出たので思わず......。

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