2017年7月17日月曜日

加戸守行前愛媛県知事の証言

加計学園問題をめぐる7月10日の国会参考人招致について翌日の各紙は例外なく前川前文科省次官の証言を大きく報じた。しかし前川氏とは逆の立場から証言した加戸守行前愛媛県知事の扱いは前川氏の扱いのほとんど十分の一程度だった。毎日新聞もその例外ではなかったが、今朝の同紙のコラム「風知草」の常連寄稿者で同紙の特別編集委員の山田孝男氏は「別の見方もある」として前知事の主張に半分のスペースを割いている。

前知事の発言をコラムから引用すれば、「加計学園獣医学部の今治市誘致は05年以来の懸案だった」「大学はどこでもよかったが、手を挙げたのは加計学園だけだった」「獣医学部の定員は神奈川以東が8割、岐阜以西2割。日本獣医師会系の政治団体が自民党に献金し、学生を奪われぬよう、新設を阻む構造がある。安倍首相と加計の理事長が親しいとは知らなかった。陳情しても自民党は冷淡。民主党政権は前向きだった。民主党政権が続いていたら、騒ぎにもならず実現していたという実感がある」「50年も新設を拒んだ行政こそゆがんでおり、今回の決定( 加計の開設認可 ) でやっと正された」と見る。

コラム筆者の山田氏は「政府内調整で容認派が勝った。すると、文科省から過程の記録が流失。官邸が確認を拒んだ結果、記録の真贋論争に集中、背景の説明は吹っ飛んだ」と記す。山田氏は7月11日の自紙の紙面では報道として不十分と感じたのであろうか ( 同氏は他の件でもメディアの傾向に批判的な意見を述べたことがある ) 。それとも新聞社内で同氏のコラム記事は一種の役割分担をになっているのだろうか? 多分うがちすぎだろうが。

新設容認派と批判派は獣医師が不足か過剰かでも真っ向対立している。しかし、どちらかが事実を曲げているというのではなく、都会では愛玩動物医が過剰で、地方では畜産動物医が不足しているのが実情のようだ (  最大の畜産県の北海道では道庁の獣医師数十人の募集に応募者は一桁だった!)。加計学園の獣医学部新設に安倍首相が介入したかとは現段階では確言できないが、関係者間で忖度がなされたことは否定できないようだ。

それにしても安倍首相は記録を出し渋った上に今になって国会審査に出席すると言うならなぜ最初からそうしなかったのか。結果として疑惑を深めただけではないか。現在の紛糾には野党の駆け引きやメディアのセンセーショナリズムとともに総理の 軽率さも大いに与っていると言われても仕方がない。

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