温泉にはさまざまな種類があるが、自宅の風呂と違うという点で私は硫化水素泉 ( 白濁湯 ) や硫黄泉を好む。雪中ドライブの用意はないのでこの時期は南関東中心とならざるを得ない。ところが南関東には硫黄泉はほとんど無い。例外は大涌谷を泉源にする仙石原や強羅の温泉群だが一昨年の噴火?以来、給湯施設が回復したとは聞かない。それ以外では古来箱根七湯の一つとされる芦の湯が硫黄泉なので予約した。
江戸の文人墨客に愛された芦の湯は国道1号沿いにあり、旅館は二軒しかない。むかし獅子文六が小説『箱根山』で西武 ( 堤康次郎 )と東急 ( 五島慶太 ) の激しい箱根開発競争と、それに巻き込まれた二館の対立を箱根戦争などと書いたが、M館は幕末に木戸孝允らが泊まった宿で知られ、K館は志賀直哉や中曽根元首相らに愛用されたほか、滝廉太郎が『箱根八里』を作曲した宿をウリにしている ( 遠い親戚だった由 ) 。私は今回が三度目 ( すべてK館 ) だが、前回や前々回と違い湯温が低くちょっとがっかりだった ( 元来白濁湯ではないが ) 。今回が冬季だったことが理由なのだろうか? もう一つの源泉 ( 炭酸泉 ) はそれよりは良かったが、泊まっていた中国人観光客には不運としか言いようがなかった。
彼らの一人と入浴中話をしたが、筆談なら蘇州、杭州、麗江、成都、九寨溝など曽遊の地をすぐに分かってもらえるのに英語では上海と雲南ぐらいしか読みを知らないので確実には通ぜず、これほど焦れったい思いをするとは思わなかった!
箱根観光は翌日芦ノ湖岸まで足を延ばしただけ。湖上遊覧船の船首に「春節遊客歓迎」の看板が掲げられ、波止場には20人ほどの中国人観光客が楽しげに海賊船と白雪の富士を入れた写真を撮ったりしていた。少しでも日本に好印象を持って欲しいので一組の家族の写真のシャッターを押してあげた。中国政府がどうあれ私は中国人観光客に不愉快な思いをしたことはない。
そのまま帰宅するのも残念で、西湘バイパスを利用して鎌倉に向かった。七里ヶ浜の江ノ電鎌倉高校前駅の近くに駐車して、『海街diary 』にも登場する江ノ電に乗る予定だったが ( 聖地巡礼?)、目前の駐車場は冬季のせいか閉鎖されまたの機会を期すほかなかった。午後1時に出発し午後1時に帰宅したので24時間の気晴らしの旅だったが、天候に恵まれ満足した。
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