国際仲裁裁判所が先ごろ南シナ海での中国の領土領海の主張を全面的に否定したことは大きく報道された。私も心の中で快哉を叫んだ一人だが、同裁判所は自立した生活が不可能な島は岩であって、領有権の根拠とはならないとも述べており、ベトナムやフィリピンの領土主張も認めていないと解せられる。自立した生活ができないとはまず第一に飲料水が自給できないこととすれば、沖ノ鳥島も竹島も岩に過ぎないし、尖閣諸島は岩とも島とも微妙なところである。
むろん我が国が領有権の主張を緩めても中国や韓国が簡単に主張を引っ込めるはずがない。とくに竹島の実効支配を続けている韓国がそうである。しかし、中国の場合、日中国交正常化の時から尖閣諸島の領有権を主張しており、意見を変えたわけではない。日中両国とも島自体に執着しているよりも周囲の経済水域の予想される資源を失いたくないのであれば、折半するなり妥協は不可能ではないはず。米国の支持は不変だろうか。
そもそも国境線はある時期により強盛だった国が自国に有利に定めることの繰り返しで決まって来た境界線と考えれば、「歴史的にも法的にも疑いもなく」自国領だと力むことがいつでも正しいとは限らない。学習指導要領にまでうたうことは妥協を不可能にすることになりかねない。自立して生活できない岩の領有権を争うことが賢明だろうか。他紙も続くことを期待したい。
0 件のコメント:
コメントを投稿