何新聞だったか ( わずか四、五日前が思い出せない!)ネタニヤフ首相の記者会見の記事が載っていた。質問者は自由に質問し、雰囲気は良かったという。それにひきかえ記者は日本の首相記者会見の堅苦しさ、質問の不徹底さを思い出していた。日本だけでなく他の中東諸国とイスラエルを比較しても同じことが言えそうだ。かつてラビン首相がユダヤ教狂信者に暗殺された時、イスラエル国民は衝撃を受けた。イスラエル人が同じイスラエル人を殺すことが信じられなかったのである。イスラエルが中東で稀な言論の自由な国であることは疑いない。
しかし、そのイスラエルの周辺への入植地拡大が止まらない。その状態でアラブ人に冷静を呼びかけても効果は期待薄だろう。現在のイスラエルの入植地政策は旧満州に対する日本の進出策とその本質において変わらない。伊藤博文は日本が日露戦争で獲得した権益は遼東半島と満鉄以外の満州には及ばないと戒めた が( 孫崎享『日米開戦の正体 ー なぜ真珠湾攻撃という道』祥伝社。著者はその論の奇矯さで知られるらしいが、本書はミスリーディングなタイトルと異なり、日露戦争後から日米開戦までの日本外交史でとくべつ奇矯ではない ) 、その後の日本は軍部の強硬策に屈して世界を敵に回した。しかし、同じ事をしているイスラエルに対する欧米とりわけ米国の態度は及び腰という他ない。イスラム過激派と軍事力で戦うのは誤りとは思わないが、イスラエルの拡張主義にも本気で反対しなければその効果には限界があろう。イスラエル国家の存在は守らなければならないが、欧米はもっと厳しく入植地拡大に反対すべきである。
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