2016年1月22日金曜日

震災復旧談合の評価

東北地方の高速道路の震災復旧に関して舗装業者12社の間で談合が行われたという。新聞各社の社説は一斉に談合の非を糾弾している (『朝日』の「被災者への背信行為だ」、『毎日』の「被災地への背信行為だ」) 。

国民の税金を使った工事に談合があってはならないことは今回に限らない。しかしその内容を紙面で判断する限り不合理とも言い切れないと感じた。

あの年、4月中ごろ東北道を利用したが、ところどころ路面は波打っており、そこでは速度制限による渋滞が発生していた。当時は少しでも早く東北を復興させることが要請されており、大動脈である高速道路の早期修復は不可欠だった。報道によると工事各社はそれぞれ自社に最も近い区間を落札している。復旧を急ぐ当時としてはそれは合理的であり、ましてアスファルトは一時間半以内に現場に運ばなければならないとすれば必要でもあったろう。アスファルトや人件費の高騰も十分予想されていたろう。東北復興のために国民に特別税が課されたように、政府は東北を特区と決め談合を許可してもよかったろう。

数年前? 薬品 ( 芳香剤?) に禁止成分が含まれていたとして製造会社が罰せられると聞いた。しかしその成分は多くの国では使用禁止されてはいなかった。私には単に我が国の役所が是正に怠慢だったと思えた。

私は読んでいないが、SF作家の星新一に父を題材にした小説『人民は弱し  官吏は強し』(1967年)がある。星製薬の創立者である父は、政治家やライバル社と組んだ役所の卑劣な妨害の的になったという。肉親の語るところがそのまま事実とは無論即断出来ないし、現代に大正時代のような不条理は考えられないだろうが、官庁の「無為無策」が「犯罪」を誘発することがないよう用心が肝要である。

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