2015年9月2日水曜日

盗作とは?

偶然か、今朝の『朝日』の「天声人語」と『読売』の「編集手帳」が俳句の盗作問題を取りあげている。前者の場合、作家の車谷長吉の「無意識の記憶」との弁明 (したがって否定ではない ) は十分納得できる。後者の、中村草田男の有名な「降る雪や明治は遠くなりにけり」に先立つ志賀芥子の「獺祭忌 (正岡子規の忌日のこと ) 明治は遠くなりにけり」も同じなのだろう。何しろ17文字という制約では似る可能性はある。子規の名句「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」以前に親友の漱石のそっくりの句があるそうだが、同じ題材でこういう作り方もあるぞとの意識的競作なのかも。むろん両人の友情に変わりはなかった。

東京五輪のエンブレム問題は作者の取り下げで一応の決着となった。素人の私には何とも言えないが、デザインの世界の盗作か独創かの判定は実に微妙だと感じた。以前に昭和歌謡曲の巨人の子息の作曲が盗作かと話題になったことがあるが、その後沙汰止みとなった。私など毎年毎年あれだけの数の曲が誕生して似た曲が少ないことが奇蹟のように思える。

30年ぐらい前、ある歴史学者の著書が盗作ではないかと報じられた。テレビで本人の写真まで紹介され、本人が勤務先に進退伺いを出したが受理されなかったと聞く。実は参考文献として先著が巻末で真っ先に挙げられていたのだが、引用符 (「           」)なしで地の文にかなり利用されていたのが前著の著者には納得できなかったようだ。注記のできない新書タイプなので厳しすぎるとも思えるが、後者が旧帝大の教授 ( もう私大に移っていたが ) で前著者が地方国立大の教授だったのも両者の関係を感情的にさせたのかも??     

東京五輪にケチがついたと言いたげな報道もあるが、現状では治安問題を含めて東京が最も安全安心できる都市であることは変わらない。諸外国の期待を裏切ることはないと信ずる。

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