2015年9月5日土曜日

文理佐藤学園の示すもの

埼玉県の文理佐藤学園の学園長を務める女性が何度も繰り返した海外出張で、ラスベガスのカジノを含む観光地めぐりに1500万円を浪費し辞職に追い込まれた。創業者の娘が親の威光を利用して勝手な振る舞いに及んだ点で韓国の「ナッツ姫」と好一対と言える。

その学園というのがエリート教育を方針に掲げ、「英語のシャワー」を売り物のひとつにして生徒募集に励んでいた。写真を見ると校舎も煉瓦造りで、これが日本の学校かといった雰囲気を漂わせている。そのあたりも保護者たちの心をくすぐったのだろう。

これまで世間で早期の英語教育導入が論じられるたび、言語学者らを中心に反対論( 先ず自国語を!)が唱えられた。しかし保護者たちは「専門家」の言を信用せず、英語の早期教育を売り物にする私立一貫校に競って子どもを入学させた。文理佐藤学園は絵に描いたようなその実例だろう。父兄は足で投票したのである。

半世紀前、東京圏で同様なことが起こった。当時、東大合格者数ベストテンの常連校は日比谷高校を先頭に都立高 ( 国立付属も ) で、私学は3校程度だったが、当時の小尾都教育長は都立高校間の格差拡大を懸念して「学校群制度」を作った。その意図は立派だったが、結果として現在の私立一貫校の圧倒的優位を招いた。ここでも父兄は足で投票したのである。

結果として学校群制度は私立高全盛を招き、父兄の教育費負担の増加をもたらしたのでは? 良き意図が良き結果を生むとは限らないのがこの世の現実である。

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