サンフランシスコ市議会の件はむろん韓国系や中国系の市民団体の働きかけの結果だが、市議たちはカリフォルニア州での排日移民法 ( 全土での同種の立法のさきがけとなった ) の成立を米国のレイシズムの先駆と記す記念碑が日本に建てられたらと想像する能力がないのだろうか。そんな昔のことをと言うなかれ。慰安婦問題とはわずか20年の違いに過ぎない。
自国でどんな教育をするかは基本的にはその国の自由だろう。しかしそれが賢明な教育でなければ両国関係の将来は暗い。いま韓国で事実上発禁となり同国の検察が起訴するか検討中と聞く朴裕河世宗大学教授の『帝国の慰安婦』( 邦訳は朝日新聞出版。2014年) は韓国政府の公式見解と、それを促した挺対協 (韓国挺身隊問題対策協議会 )の主張をつぶさに批判している。
朴教授が一貫して主張するのは、日本軍の期待や要請に応えてとはいえ慰安婦募集の実行者は業者とそれに同意した親である事実である。われわれ日本人は業者の大半は韓国人だろうと判断しても確かな数字がないのでなかなか指摘できないが、朴教授は韓国人であることを当然視している。そして悲劇の大きな原因が、子ども特に女子が家のために犠牲になること (たとえ売春婦でも )を不当と思わない当時の儒教的??道徳観であると見る。私もそう思う。昭和初期の東北農村の子女の身売りも無論貧窮が主因とはいえ、やはり同じ心性が働いていた筈である。
また、挺対協の影響下にソウルに建てられ今回サンフランシスコにも建てられる慰安婦像はいたいけな少女像だが、朴教授は現実の慰安婦とはかけ離れていると指摘し、日韓両国の運動団体の主張のあり方を批判する。
彼女の主張に賛成するか反対するかは各人の判断による。しかし、もし韓国の検察が彼女を起訴したら、司法に関する限り現在の韓国は天皇機関説事件や滝川事件や森戸事件を輩出した戦前日本と同じ段階にあると世界に宣明することとなろう。
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