いちばん根源的な答えは中国政府は人民を信頼できないでいると言うこと。それも当然だろう。今や共産党政権の腐敗は目に余ると言っても過言ではない。政権幹部たちは外国に財産を移すばかりでなく、子弟に外国籍を取らせるため留学させるという。そうした彼らが人民を怖れるのも当然だろう。結局のところ、毛沢東の百万言もアクトン卿の「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する。」のたった六語(英語でも )の名言に遠く及ばないということだろう。
習近平政権の最近の強硬な外交は際立っている。しかし、甘いと言われるだろうが、私は習主席は彼の信念に従って行動しているというよりも、共産党政権の最悪の遺産にしばられ苦闘しているとも考えている。彼による幹部たちの腐敗の追求は今のままでは共産党政権の将来は危ういと彼が考えているからだろう。中国軍人( 制服組 )最高位の人物や、従来は不可侵だった政治局常務委員らの腐敗を理由とする追放は権力闘争そのものだが、まともな国を目指すなら必要な闘争である。さらに、この権力闘争はわが国にとっても他人事ではない。
中国人の反日的行動の半ばは自国政府への不満の屈折した表明だと私は見ている。習近平が腐敗と本気で闘っていると国民が感じれば、反日的行動は今ほどではなくなるだろう。仮にそれが楽天的すぎる見方としても、習近平政権の対日政策の自由度は拡大するだろう。今は何としても習近平に反腐敗闘争(それは江沢民閥との死活の闘争である可能性が高い )に勝利してもらいたい。江沢民の院政が復活したら日中関係の改善ははるか先となろう。
そのためには香港市民の抗議行動が江沢民派に習近平打倒の口実に利用されないか心配である。天安門事件で学生に宥和的だった趙紫陽元総書記の失脚の先例もある。私の心は香港の若者たちへの共感と習近平支持との間で揺れ動かざるを得ない。
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