2014年4月22日火曜日

小さな変化に注目を

中国の裁判所に賠償を命じられた商船三井がその船を差し押さえられた。それに対し菅官房長官が「日中共同声明に示された国交正常化の精神を根底から揺るがしかねず........」と批判した。少し反発が過ぎるのではないか。
中国外務省報道局長はこれを商取引上のもめ事と見なし、「この案件は戦争賠償の問題とは関係無い」、「(日中共同)声明の原則を守るという中国の立場に変化はない」と語っている。取りようによっては、これは他の民間の戦時賠償に関してはこれを必ずしも先例としない、少なくとも未だ政治が態度を決定していないと読める。それに対する反応としてはもっと抑制された言い方が望ましかった。
菅官房長官は苦労人と聞くし、概して慎重な受け答えが多いとの印象があったが、以前にも安重根をテロリスト呼ばわりした。韓国では英雄であることを知っていればもう少し違った言葉づかいもあったはず。残念である。

この一、二年に中国、韓国、北朝鮮でトップが変わり東アジアの状況の好転を期待したが、期待外れだった。パククネ大統領は親日派の娘と見られるのを避けたいのだとの解釈もあったが、彼女の頑なさは、むしろその信念にあると考えた方が良さそうである。今では私はパク氏よりもむしろ金正恩主席や習近平主席に期待している。何を世迷言をと言われそうだが、私にはヨーロッパで数年を過ごした金氏が今の自国の異常さを知らないはずがないと思いたい。北朝鮮への制裁強化に賛成なのもそれが同国の変化のきっかけになることを期待する故である。
習近平氏も文革時代は苦しい生活を送ったと聞く。更に彼の父は親日派の胡耀邦の親友だった。

事実、金主席はロケット発射の失敗を直ちに発表したり、公式行事に夫人を同伴するなどこれまでにない行動に出る。これら、とくに後者は単なるスタイルの変化に過ぎないと見られそうだが、私には西欧的なものへの内心の憧れの反映と見える。習近平氏が胡耀邦氏の子息を最近我が国に派遣したのも習氏の本心の反映と私は考えている。
あの悪名高かったミャンマーの独裁政治さえ変わる時は変わる。中朝何れにせよ独裁と決めつけるだけで良しとせず、どんな小さな変化にも着目すべきであろう。

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