聖路加国際病院の名誉院長の日野原重明氏が105歳で亡くなった。ほとんど全てのメディアが氏の功績を讃えており、門外漢の私も氏の多方面の業績には頭が下がる。しかし、名誉職とはいえ100歳を超える人が組織に残っていることに対してはこのブログでも疑問を呈したことがあった。東京新聞の「本音のコラム」( 8月7日 ) に、現役の看護師で評論家の宮子あずさ氏が「長寿時代の引き際」との文章を載せている。
宮子氏は日野原重明氏の功績を高く評価しつつも、「長く君臨すればこそ成し遂げられることがある一方で、他者の機会を奪う可能性があるのも事実である」「自分が輝くことより後に続く人が輝くように。そう行動を選んでいきたいと思う」と記している。同感である.想像だが、同じ医療の世界に身を置く宮子氏にとり、日野原氏への批判 ( 婉曲でも ) は別の分野の人間にはない心理的重圧があったかもしれない。
それにもかかわらず言論機関の圧倒的趨勢にあらがって持論を述べた宮子氏は、以前に林文子横浜市長のファーストクラス乗機を弁護した ( 現地でただちに交流や交渉をするには体調は大切との理由で ) ときのように、今回も大勢順応を拒んだ。「本音のコラム」の定期寄稿者として宮子氏と元外交官の佐藤優氏の二人は異色であり、ときに貴重である。
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