2017年8月9日水曜日

老害に注意

何日か前の新聞のコラム ( 「経済気象台」?)に企業の老害を指摘する文章が載っていた。最近の企業は元や前の会長や社長に「相談役」や「顧問」の称号を与え、専用の部屋や運転手付きの車を提供する場合が少なくない。私も無駄なことだとかねて考えていたが、コラム筆者によると、それと共に、またはそれ以上に、現経営陣が新しい経営方針を立てたくとも相談役や顧問という名の先輩たちが残っていては彼らの過去を否定することにもなり惰性的経営を生むとの指摘があり、なるほどと思った。経営危機にある東芝にもそのまま当てはまるかもしれない。

聖路加国際病院の名誉院長の日野原重明氏が105歳で亡くなった。ほとんど全てのメディアが氏の功績を讃えており、門外漢の私も氏の多方面の業績には頭が下がる。しかし、名誉職とはいえ100歳を超える人が組織に残っていることに対してはこのブログでも疑問を呈したことがあった。東京新聞の「本音のコラム」( 8月7日 ) に、現役の看護師で評論家の宮子あずさ氏が「長寿時代の引き際」との文章を載せている。

宮子氏は日野原重明氏の功績を高く評価しつつも、「長く君臨すればこそ成し遂げられることがある一方で、他者の機会を奪う可能性があるのも事実である」「自分が輝くことより後に続く人が輝くように。そう行動を選んでいきたいと思う」と記している。同感である.想像だが、同じ医療の世界に身を置く宮子氏にとり、日野原氏への批判 ( 婉曲でも ) は別の分野の人間にはない心理的重圧があったかもしれない。

それにもかかわらず言論機関の圧倒的趨勢にあらがって持論を述べた宮子氏は、以前に林文子横浜市長のファーストクラス乗機を弁護した ( 現地でただちに交流や交渉をするには体調は大切との理由で ) ときのように、今回も大勢順応を拒んだ。「本音のコラム」の定期寄稿者として宮子氏と元外交官の佐藤優氏の二人は異色であり、ときに貴重である。

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