2017年8月27日日曜日

中国の横やりを防げる国は?


英国のケンブリッジ大学出版局 ( CUP ) が天安門事件などに関する学術論文や書評など数百件について、中国当局の要請に応じ、中国国内からのアクセスを遮断していたが、この度その措置の中止を発表した。昨日の朝日新聞の「声」欄の投書者は中国の横やりに警鐘を鳴らし、「CPUの問題は真剣に取り上げて議論すべきだと思う」と結んでいるが、管見の限りては朝日新聞はCPUにとって大汚点であるこの事件をそもそも報道しなかった。共謀法による言論の抑圧の危険をあれほど声高に指摘した同じ新聞とは思えない。

CPUはなぜ中国の要請に応じたのか。他紙 ( 『産経』8月26日 )によれば、「中国国内で人気のある英語教材など、一切の出版を禁じると圧力をかけられたという」。 経済大国中国を敵に回したくないということでCUPが学問研究の自由への中国の介入を許したとすれば、今後も各国の研究機関が同じような圧力にさらされる恐れは大きい。

私は他国とくに先進国( 国連人権委員会も)が、たとえ人権問題が絡んでいても発展途上国などの内政を安易に批判することには賛成できない。端的に言って「開発独裁」というものもあり得ると考える。しかし大国が他国の学問研究の自由に干渉するなどということはあってはならないし、他国は中国の経済的圧力に屈してはならない。

私はメルケル独首相の識見や能力に敬意を表し期待するが、自動車産業を中心に中国経済に深く関与しているドイツが果たして中国の大国外交を批判できるか危惧しているし、その兆候はすでに皆無ではないのではないか。仮にそうとすれば、たとえトランプの米国であっても米国しか中国の不当な要求を拒否して学問研究の自由を護れる国はないということにならないか。カサンドラの予言はしたくないが...........。

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