私は「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」の主張に全面的に賛成である。手続き論としてもそうだが、それを離れても死刑制度を止むを得ないと考えるから。高名な廃止論者に元警察官僚にして元自民党幹部の亀井静香氏がいるが、氏の著書 ( ブックレット ) にも冤罪の可能性など聞き慣れた反対理由しか挙げられていない。
廃止論者が真っ先に挙げる冤罪の可能性が絶無とは言わないが、戦後しばらくはともかく現在のわが国では、死刑囚がしばしば再審を認められている事実が示すように、犯行をあくまで否定する死刑囚が刑を実行されることは先ず考えられない。国連加盟国の中には政治的反対者を死刑にする国が少なくない ( 国連の人権擁護組織のメンバーにはそうした国の国民が少なくないようだ ) が、わが国ではそうしたことはあり得ない。死刑の犯罪抑止効果はあまり期待できないとしても、逆に国によっては犯罪者と見なされた者を裁判の手間を省くため射殺する誘惑は強まる。
しかし私が死刑を是認するのはそれが正義に叶うと思うからである。前にも紹介した気もするが、オバマ大統領はビンラディンの殺害に成功した際 、Justice has been done! と叫んだ。一人でも他人の生命を奪った者は原則として自分の生命で罪を贖うべきだが同情すべきケースもあろう。複数の生命を奪うと死刑判決という現在のわが国の慣行は妥当なのだろう。EU諸国の犯罪者の人権擁護のための死刑廃止論に私は偽善の匂いを感じてならない。
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