2016年10月21日金曜日

中国の体制内知識人の苦悩

朝日新聞 (10月20日 )に中国の天津社会科学院名誉院長の王輝氏への長いインタビューが掲載されているが、当局の人権侵害と闘う反体制知識人とは別の体制内知識人の苦悩が読み取れる。

文化大革命時代に党幹部だった王氏は拘束された苦難の時期と政府内で仕事に従事した時期をともに経験した。氏は一千万人の犠牲者を生んだ文革の暗黒面をむろん否定しないが、文革の直前には「党内には、すでに特権階級が生まれつつあった」とは認めている。

その後は鄧小平の「改革開放」時代になり経済は大成長したが、貧富の格差は拡大するばかりとなった。現在は「すでに貴族権益のようなものを持つ階級も生まれているから、左 ( 共産主義 )にも行けない」「かといって右に行くこともできない。右とは米国的民主政治の道です」「 ( 民主化が ) 進めば中国は四分五裂の道をたどるでしょう」「ただただ、今のままやっていく。これしか他に道はありません」。

現在の習近平体制下の人民の人権擁護に身を捧げている反体制知識人たちの受難と苦悩には多くの日本人が心を痛めていると信ずる。しかし、彼らはまだ希望を失っていないのに対し、王氏のような良心的体制内知識人には絶望しかないようだ。氏はこうなった原因を「( 中国共産党のような ) 暴力による政権奪取の必然の結果は専制政治です。それは民主化をもたらすことはないのです」と結論している。もっと早く目覚めるべきだったと言うのは言い過ぎだろうか?

現在の中国の対外政策は独善的で危険をはらんでいる。しかし、習近平が腐敗撲滅以外に中国を正道に戻す道はないと信じているのは誤りではない。その道はおそろしく狭い道だろうが...........。

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