経済のグローバリゼーションの結果、昔なら考えられない価格で各種商品が入手可能になった。百円ショップを訪れた友人が何でも売っていると驚いていた。発展途上国の製品を経済先進国の国民が買うことは相互に利益であり、一見万々歳である。しかし、物を大切にする習慣は確実に廃れるだろう。痛し痒しである。。
刊行されたばかりの講演再録集『問題は英国ではない、EUなのだ』( 文春新書 ) でエマニュエル・トッドが英国のEU離脱の原因を、先進国共通の「グローバリゼーション・ファティーグ ( 疲れ )」に求めている。国境を越えての物品や人間の自由な移動が経済の活性化を生み、人々に物質的満足をもたらすとの新自由主義的教義が誤りとは言い切れない。しかし、米国の製造業従事者が全雇用の10%程度と聞けば、かつて米国製品が輝いていた時代を知る私には健全なこととは思えない。トランプ人気の一因が矢張り米国民の「グローバリゼーション疲れ」であることは否めない。その結果、政治家の品性が二の次、三の次となる時代が来るのだろうか。
それも困るが、トッドは別のインタビュー記事で、「この大統領選挙でグローバル化の神話は終わり、国家回帰に拍車がかかるだろう」と予言している ( 『朝日』10月4日 ) 。
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