2015年2月13日金曜日

渡航の自由を守るには

また一人、どうしても取材でシリアに入りたいというフリージャーナリストが現れた。他人の迷惑には配慮しないという風潮はどうかと思うし、旅券没収にも一応の根拠はあると思うが、これでは私の職業である「フリーカメラマンの仕事を失うことになる」との杉本祐一氏の主張も一応の理屈ではある。

私の職業であるということはこれが「メシのたね」だということであり、その点は後藤健二氏と同じである。後藤氏が現地報道が必要だと説いてもそれが氏にとり生活手段であることも否定できないし、既成メディアも取材できる範囲の報道ではどのメディアも欲しがらなかったろう。ただ杉本氏ほど正直に言わなかっただけである( 言うまでもない事との反論もできる )。私は国家が自国民を何としても守る義務があると書かれた法律があるかは知らないが、恐らくは当然のこと、常識だということではないか。しかし常識が通じない相手が相次ぐ昨今なら対応を考え直すのも一つの方法である。

今後、杉本氏のようなケースでは、1 ) 国家は救出のための何の手段も尽くさないと前もって宣言するか、2 ) 救出の費用は本人ないし遺族が負担すると約束させるか のどちらかが適当だろう。そうすれば渡航の自由も取材の自由も守られる。費用の自己負担は登山者の遭難ではしだいに原則となりつつあるようだ。

しかし米国のように身代金支払いも人質交換も原則として応じないで通用する国と違い、メディアが是迄のように日本人の生命が危ういとなると半狂乱になる我が国では、政府が動かないではいられなくなる。メディア( も国民 )も理屈よりも情緒に動かされる心性が変わりそうもないならば、救出の費用を本人か遺族に負担させると発表するのが最も実際的な措置だろう。私は杉本氏のために税金が使われるのには耐えられない!!

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