今朝の朝日新聞に高名な作家の高村薫氏の『穴は至る所に』と題する1面の大半を占める長い寄稿文が載っている。「「いま」に興じる我ら先見通せぬ残念資質 何もかもガタがきた」との大見出しで始まる論考は、まず年初に発生した八潮市のトラック陥没事故を取り上げる。事故原因として高村氏は「本来は事前の地盤改良や、定期的な地盤調査、さらには下水管の適切な設備更新や技術革新などによって、陥没など滅多に起こらないのが公道のはずである」とする。高村氏はさらに「明確なテーマを欠いたままめぼしいコンテンツを寄せ集めただけの大阪・関西万博がある」や、「使い勝手が悪すぎ」るマイナ保険証らを例に挙げ、「一義的には政治や行政から企業まで、戦後世代が時代の変化についてゆく努力を怠ったということになろう」と批判する。
正論であり私自身、トラック運転手の救出の遅れに心を痛めたひとりである。しかし、道路や下水道をはじめとするインフラストラクチャーは建設に巨額の費用を要する。急速に拡大する都市化が要求する費用に全て十分に対応することの困難さは容易に想像できる。
高村氏の厳しさに私がにわかに賛成できないのは私が同氏より20年早く生まれ、国家も個人も懐が無い無いづくしだった時代を覚えているからだろうか。それとも私がひときわ鈍感な人間だからだろうか。
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