同地には下風呂温泉という素朴な温泉地があり、イカ漁の季節なら津軽海峡の漁り火を見ることができる。私に季節の記憶はないが、ここの「海峡の宿 長谷旅館」に泊まったことがあり (現在は休業中? ) 、テレビ画面に同旅館の看板を見出し懐かしかった。作家の井上靖が泊まった宿 ( 小説『海峡』)と知り立ち寄ったのだが、番組に宿のシーンは無かったので昔のままかは分からない。それでも赤い風ぐるまが回る恐山の風景とともによい思い出になっている。
下北半島といえば内田吐夢監督の映画『飢餓海峡』も忘れられない。殺人を犯して北海道から逃げてきた犯人は、何も知らない宿女中に親切にされる。のち本州で成功して資産家になった犯人( 三國連太郎 ) は昔を懐かしんで訪れた女中 ( 左幸子 ) を金欲しさの訪問と邪推し殺してしまう。主演の三国も左も既にあの世に旅立った。それでも名作に出演してこの世に在った確かな証拠を残せた。もって冥すべきか。
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