2018年9月19日水曜日

米中の関税戦争

トランプ米政権が中国製品に対する高率関税の第3弾の発動を表明する見通しとなった。場合によっては第4弾も検討するという。課税対象額も340億ドル、160億ドル、2000億ドルとうなぎ登りであり ( ただし、税率は前2回は25%に対し、日用品を対象とする第3回は10% )、中国はそれに匹敵する報復関税を用意するという。といってもこの対決でより失うものが多い中国は心ならずもだろう。トランプ大統領としては差し迫った中間選挙とさらには次回大統領選に敗北しないためには選挙公約を実現することが何にも勝る目標なのだろう。

大戦後の自由貿易体制は日本ついで中国ら途上国国民の生活水準の向上を生んだし、米国の大衆の購買する商品の価格を引き下げ米国にも利益をもたらした。しかし、そうして発展させた国力を中国が、軍事力の飛躍的向上や国際司法裁判所の判決を無視しての南シナ海の基地増強に利用する結果ともなった。

自由貿易イデオロギーの元祖の英国のリチャード・コブデンやジョン・ブライトはそれによる経済的利益を目指したが、同時にそれが各国を結びつけヨーロッパの平和に資するとの強い信念にも動かされていた。この楽観論は第1次世界大戦の勃発により打撃を受けた (  当時の英国とドイツはお互いが最大の貿易相手国だった )。

第二次大戦後の自由貿易イデオロギーにも貿易による相互利益とともにそれが世界平和に資するとの期待があった。とくに中国に対しては大衆の生活水準の向上が同国の民主化の後押しをするとの期待があった。しかし結果はこれまでのところ逆だった。

トランプ大統領の狙いが人気取りであれ、自由貿易が常に良き結果をもたらすとの楽観は改めた方が良いようだ。中国への進出企業が3万という日本の経済にはマイナスだろうが.........。

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