2018年1月20日土曜日

東山魁夷展を見る

一昨日、八王子の東京富士美術館の開館35周年記念の東山魁夷展を見た。八王子で約80点もの同画伯の作品が展示されたのは、長野市の信濃美術館  東山魁夷館が改築工事で休館中のため利用できたことが大きいようだ。

私は同画伯の絵が特別好きというわけではないが、唐招提寺の襖絵が同寺に納入される前にデパート ( 三越?)で展示されたのを見たことがあり、20年ほど前には善光寺にほど近い東山魁夷館を訪ねたことがあった。

今回の展示で最も有名な作品は奥蓼科の御射鹿池に白馬がたたずむ『緑響く』だろうが、他に代表作の『道』( 1950年 ) の準備作群( 下絵と呼ぶには完成度が高い ) のうちの4点や唐招提寺の襖絵の準備作数点など見応えのあるものが少なくなかった。とくに『道』の下絵は、一本の道を正面から描いた単純極まる構図なのにわずかな違いの効果を研究し尽くした感があり、素人の私にはどれも同じように見えたのは情けなかった。また、『緑響く』以外にも白馬が姿を見せる作品が数点並べて展示されていたが、白馬は画伯の祈りだという解説を読んでも白馬の必然性はよく分からなかった。

絵画以外に画伯は数多くの紀行文集を上梓しており、信州や甲州を中心とした『わが遍歴の山河』( 1957年 新潮社 ) は私も愛読した時期があった。しかし、私がある日曜画家に同書を誉めたら「画家は絵を描けばいいのだ」と反論された。双方に才能があるなら両立も悪くないのに.......。

美術館の帰りの車内で家内が、我が家には東山魁夷の複製画があると言う。まったく記憶がないので否定したら、帰宅後『四季巡遊』という10枚ほどの複製画とそれを入れる額縁一つを奥から出してきた。最近もよく魁夷の複製画の広告を見かけ複製を持っても仕方が無いと思っていたが、我が家にもあったとは!  今となっては厄介な終活の対象でしかないが..........。

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