2017年5月13日土曜日

朝ドラ『ひよっこ』を見て

NHKの朝ドラ『ひよっこ』に、東京オリンピック当時の給料が大学新卒者で約二万円、主人公のような高校卒の女子工員約六千円と出ていた。いい加減な数字を挙げる筈はないので、それが当時の平均的給与額だったのだろう。私自身の記憶 ( 大卒だけだが ) とも大きく違わない。

当時と現在の貨幣価値の差はおよそ10倍と考えれば大卒20万円、高卒6万円となる。現在6万円で働く高卒者は特別の意図 ( その職業の修業のためなど ) がなければまずいないのではないか。その後の五十年間に学歴の差による所得差は確かに縮小した。労働組合の活動の成果、大卒者の増加など縮小原因はさまざま考えられる。

むかし、『東北の神武たち』という小説 ( 深沢七郎著 ) と同名の映画 (1957年 )があった。東北の貧しい農村では後継ぎの長男以外は田畑を持てない。嫁ももらえず、ヒゲを剃ることも禁じられ、神武天皇を思わせる外見からズンムと呼ばれた。小説なのでそのまま事実かは確認できないし、小説も映画も私は見ていないが、それに近い現実はあったろう。朝ドラからもそれはうかがえる。

さいわいその後の経済成長でそうした現実はおおむね過去のこととなった。しかし、1990年代、つまりソ連が消滅した頃から風向きが変わったように感ずる。ソ連共産主義はその欠陥から消えるべくして消えた。しかし建前であれ「労働者と農民の国」を称したソ連の消滅は、対抗するためにも貧富の格差の解消策を採用してきた西側諸国の改革意欲を衰えさせた。米国の富豪や有名スポーツ選手の圧倒的な富や年収はほとんど傍若無人の域に達していると私には映る。立腹した大衆がポピュリスト政治家に救済を期待しないよう務める必要がある。結果の不均等はある程度避けられないとしても、機会の均等は何とか確保すべきだろ。

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