僅か一ヶ月かそこら前、籠池学園問題で首相は自分も夫人も「一切関与していない」と断言した。しかし既に夫人が何度も招かれ複数回講演しているのだから用地買収に特別の便宜をはかったかどうかは別とし ( 多分はかっただろう ) 、「関与」していることは明白である。加計学園に関しても文部省への官邸の働きかけの存在は疑いない。なぜ首相は規制撤廃のため、つまりは日本経済再生のため自分が先頭に立って岩盤に穴を開けたと言わないのだろう。この何年来、既得権益を守るための規制を打破しなければとあれほど叫ばれていたのに ( 獣医師界の反対は利害関係者ゆえにそのまま受け取ることはできない )。いかに国会で多数を占めていても虚言があと一回あれば内閣が退陣に追い込まれることもあり得よう。
だからと言って前川前文科省次官が社会正義のため立ち上がって真実を語っているとは思わない。もしそうならば半年前の次官当時、職を賭して獣医学部新設に反対したはず。氏はその後間も無く文科省の役人の天下りの中心にいたことが明らかになり辞職した。次官職を賭して反対しなかったのは社会正義よりも天下りの維持の方を優先したと勘ぐられても仕方がない。
前川氏が出会い系バーに顔を出していたかどうかは本質的な問題ではない。名前が思い出せないが、以前の「ニュースステーション」に常連として出演していた元朝日新聞記者 ( 現在は私大教授)が前次官の発言に対し、内閣府が文科省の権限を犯したことへの怒りがこれ程とはと感想を述べていた。真相はそんなところか。官僚にとって省益とは個人的名誉を毀損しても守るべきものなのだろう。