むかし ( 1982年 ) 、韓国の評論家李御寧氏の『「縮み」志向の日本人』が日本文化論として話題を呼んだ。確かに日本人は大きなものより小さなものに心を動かされるようだ。中国の天安門広場を囲む建築群の巨大さは印象的であるが、国力の違いばかりが彼我の差の原因ではあるまい。やはり美意識の違いがそこに存在するのだろう。二十年ほど前、中国の客人を都心に案内して旧首相官邸の前を通ったら彼女が、how small ! と叫んだので私も家内も憮然となった。
ヨーロッパ人と一言で言っても国民性は様々であることは知られている。英国が美食の国だと思う人は少ないだろう。何しろ英国では料理の味付けは各自が食卓の塩と胡椒でする ( していた )。英国人は内心ではラテン民族の美食への執着を軽蔑しているのではないかとさえ思いたくなる。しかしフランス人やイタリア人の美的センスはゲルマン系民族も一目も二目も置いている ( 自国の自動車のデザインを彼らに依頼することが少なくない )。
今日のアジアでは各国民が他国の短所にばかり目を向けているが、それぞれの国民の長所が冷静に評価される時代が早く来て欲しいものである。
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