2017年4月12日水曜日

米国のシリア空軍基地攻撃

昨日イタリアで開かれていた主要7ヵ国 ( G7 )の外相会合は共同声明で先日の米軍機のシリア空軍基地への攻撃を、「シリアでの戦争犯罪に対応し、化学兵器の使用を防止するため注意深く計算された、対象が限定された対応」と是認した ( 東京新聞4月12日 )。同時にロシアを「重要な国際的プレーヤー」と認め、対露追加制裁を認めなかった。

米軍の攻撃の翌4月8日の新聞各紙の社説の見出しは『朝日』の「無責任な単独行動だ」と『産経』の「蛮行許さぬ妥当な措置だ」を両極端として、他紙は「介入の決意を示したトランプ氏」(『読売』)、「政治解決へ本腰を入れよ」( 『毎日』)、「武力に頼りすぎるな」( 『東京』)と、断定的な非難も支持も避けていた。

今回の攻撃が毒ガスに苦しむ子供たちの映像に促がされたとのトランプ氏の言葉を否定する気はない。しかし動機としては自国内の施策が抵抗に会い停滞していることや、オバマ前大統領がシリア問題で不決断だったと攻撃した手前、何らかの行動に出ざるを得なかったことが大きかっただろうし、中国に北朝鮮への圧力を迫るためもそれに劣らぬ動機だろう。今がチャンスと見たのだろう。

トランプしを動かした動機はともかく化学兵器の使用が人道に反することは疑い無く、言葉だけの反対で良いのかという疑問は残る。第一次世界大戦後の国際連盟は侵略国に対し事実上は経済制裁しか要求できず、枢軸国の連盟規約違反に無力だったし、現在の国際連合はその反省の上に立って武力制裁を可能としたが、五常任理事国の一致を条件としたため実効を挙げてこなかった。今回も米国議会や国連と協議していたら従来どうり非難決議が精一杯だった可能性が大きい。

しかし、もしシリアやロシアが主張するように反体制派が所有していた毒ガスが惨劇の原因だったとすれば話はまったく別である。その可能性は乏しいが、住民を盾にすることを意に介さない一部の反体制派にとって敗北を避ける方法は他に無くなったことも事実。それともG7はシリア政権の毒ガス使用の確証をつかんだのだろうか。その証拠が何より待たれるところである。

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