2016年5月7日土曜日

親日台湾を失望させるな

台湾漁船が沖ノ鳥島の近海で漁をしたとの理由で日本の海上保安庁が取り締まりを強めるのに対し、馬英九政権が漁船保護のため巡視船を同行させつつある。日台間の係争に発展させないよう双方が努めなければならない。

毎日新聞のコラム「木語」( 5月5日 ) に同紙の編集委員某氏が、うがった解釈を紹介している。それによれば馬総統が民進党政権に「難題を作り出して日台分離を図ろう」との陰謀説がある ( じじつ蔡氏も世論を考慮すれば日本を批判せざるをえない 。私も馬氏が大陸中国にいい顔をしたいのだろうとは思う ) 。しかしコラム筆者によれば別の説もある。南シナ海問題でフィリピン政府は「南沙諸島に島はないし、岩しかない」と主張するが、台湾は同諸島中の最大の「太平島」(51ヘクタール)を実効支配し、馬総統も訪問したことがある。つまり、「敵は本能寺にあり」で、馬氏の真の目的はフィリピン牽制であるという。ただしコラム子も断定してはいないようで、馬氏は南シナ海を領海視する中国の伝統的主張に従っているだけかもしれない。

沖ノ鳥島に話を戻せば、国連海洋法条約では「満潮時に水面上にあれば島」で面積は関係ないとする条文とともに、それと一見矛盾する「人が居住できない岩はEEZ ( 排他的経済水域 ) を有しない」との条文もあるという。前者に依るとしても沖ノ鳥島は近年しだいに標高を失っており、構造物なしではやがて水中に没するだろうし、後者によれば我が国は他国の漁船を排除できないはずである。じっさい映像で見る限り岩にしか見えない。これでは南シナ海での中国の埋め立てを非難できるとは思えない。

アジアに日本に好意を持つ国は少なくないと信ずるが、中国との経済関係を第一に行動しがちである ( オーストラリアも!)。その点で台湾は中国との経済的繋がりが飛び抜けて強くとも親日的な貴重な友人である。漁業資源も地下資源 ( レアアースの埋蔵の可能性 ) も大事でないとは言わないが、民主主義を堅持する第一の親日国との関係を損なって良いほど日本の領土主張は異論のないものではない。

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