2016年5月11日水曜日

オバマ大統領の広島訪問

オバマ氏が米国の現職大統領として始めて広島を訪問するという。「やっと」という受け止め方もあろうし、「遺産作り」の側面は否めないが、イランやキューバとの和解と同様正しい遺産作りと評価したい。彼に広島訪問を決意させたのにはキャロライン・ケネディ大使の熱心な働きかけがあったと聞くが、直接的にはケリー国務長官の広島訪問が反米プラカードでなく児童たちの掲げる各国旗で迎えられたことが日本の「謝罪要求」への米側の懸念を弱めたことが大きいだろう。

米国による広島長崎への原爆投下にはソ連への牽制を始め複雑な事情が指摘されているし、それらは当たっているだろう。他方、日本の終戦決断にもソ連の参戦がより大きく作用したと思うが、広島長崎への原爆投下がそれを促進したことは否めない。被爆者側に米国への謝罪要求があるのは無理のないことだが、ここでそれを持ち出すのは賢明ではない。

広島の原爆慰霊碑の「........、過ちは繰返しませんから」との銘文は日本語の特徴らしく主語がないので日本の過ちとも米国も含めた人類の過ちとも解せられる ( どう外国語に訳されているのだろう?) 。しかし私は建立当時の我々の受け止め方を回想して日本の過ちが主な含意だったと思うし、少なくとも米国の過ちを指摘したのではないと理解する。米国にせよ人類にせよ日本が「繰り返しません」と約束することはできないから。

加害国の米国が他国からの「謝罪要求」に過敏になるのはある意味で当然だが、われわれ日本人は米国に謝罪を求めるよりも「過ちは繰返しませんから」との当時の思いを大切にした方が賢明である。自国は悪いことは何も無いと信じている国々と同列になる必要はない。

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