新製品は使い勝手や消費電力で改良されているとの意見と、まだ使えるのに修理不能との理由で新製品を買わされるとの意見はどちらも消費者が感じているところだろう。メーカーが主張する部品保管期限十年は身勝手であり、やたら新製品を出すからそうなるのでは? 同じ会社のカメラの新型はリチウム電池が変わっており、サービスステーションの係員は小型化のための止むを得ない進歩だと頭を下げた。
「価格については、昔に比べて安くなったという声が目立った」という。同感である。確かに洗濯機を買い換えた時昔より何倍も高いのに驚いたが (それほど長く使った!)、購買者の収入と比べればそう言えそうだ。長く日本の大衆車の代表だったカローラは1966年?の発売時は40万円台だったが、それは当時の大学新卒者の平均年収を超えていたと思う。当時と同程度の大衆車 ( 冷房などない )なら現在は年収の半分程度で買えるだろう。薄型テレビに至っては激安と言ってよく、家電メーカーが気の毒になる ( だから倒産もするし、海外生産が当たり前になった )。
19世紀のフランスでは男性のスーツは高価であり、古着で我慢する人が多かったようだ。我々はコナカや青木やユニクロに感謝すべきなのか? 後者については浜矩子氏の「ユニクロが日本を滅ぼす」との主張 ( 数年前の『文春』の論文 ) も一理あると思うのだが。
最近十年、二十年間、勤労者の平均年収は低下しているという。恐らくその通りだろう。しかし、他方で衣食住のうち衣食はむしろ価格は低下していると思う ( ワンコインで買える弁当は数多い ) 。食材を世界から入手していることも無関係ではないのだろう。メディアを信じれば国民生活は常に窮乏していると思いたくなるが、夕方のテレビは各種の美食番組で持ちきりである。
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