2016年3月1日火曜日

米国の「ダイナミズム」

半世紀前に読んだ時事英語のテクスト ( 新聞記事を編纂したもの ) に、英国の列車内の出来事の記事があった。旅客の一人が持ち込んだ犬の行儀が悪く周囲はうんざりしていたが、だれも苦情を口には出さなかった。ところが途中から乗り込んできた米国人が、騒ぐ犬を車窓から放り出してしまった。真偽のほどは知らないが、良くも悪くも米国人の果敢な行動力を示す挿話だった。

米国大統領選の行方はまだ読めないが、昨日の『東京新聞』の関連記事は末尾に、誰が選ばれてもヒラリーなら初の女性大統領、トランプなら初の実業家出身大統領、サンダースなら初のユダヤ系大統領、ルビオやクルーズなら初のキューバ系大統領だと指摘していた。オバマが黒人初の大統領であることは言うまでもない。やはり米国のダイナミズムを示す事実だろう。

丸山和也参院議員の発言が非難されている。オバマ大統領を例に挙げて「アメリカは黒人が大統領になっている。これ、奴隷ですよ」と発言したという。オバマは奴隷の子孫ではなく、粗雑な発言だが、文脈からすれば米国のダイナミズムを強調したかったと読める。丸川議員や島尻沖縄・北方担当相に続いての失言だったので野党の好餌になったが、本質的に差別発言ではなかったと思う。

野党側も中川正春元文科相が、甘利氏に続いて「首相の睡眠障害を勝ち取りましょう」と発言してのち取り消した。安倍首相が「人権問題だ」と怒ったのは大人気ないが、与党議員の失言をしつこく質問され立腹した後だったようだ。それにしても中川氏の発言は自党の代議士会での発言なら品位はともかくとして問題視するほどのものではないと思う。

エリザベス女王の曾孫の名前を日本の動物園の猿の子?に付け、非礼だと非難の声が挙げられたが、当の英王室も国民も意に介さなかった。今回、オバマ氏も米国民も格別の反応を示してはいないようだ。粗雑な発言で不快ではあっても一議員の発言を取りあげるのは大人気ないと感じたのだろうか。

米国民主党の討論会で他の大統領候補たちがヒラリーのメールの「不正使用」に批判を集めたのに対し、サンダース候補がもっと大きな問題があるはずだと呼びかけ、ヒラリーに感謝された。私はいっぺんにサンダース氏が好きになった。

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