2021年5月18日火曜日

二つの正義の間

  このところ毎日、パレスチナのガザを支配するハマスとイスラエルの間で前者によるミサイル攻撃、後者による爆撃が展開し、双方とくにガザ市民の間に200人を超える死者を生んでいる。国連を中心に停戦の試みがなされているが、双方とも聞く耳を持たない。

  現代はテレビで現地の状況にある程度接することができる。疑問だったのは、イスラエル軍による爆撃の激しさ、恐ろしさは十分感得できたが、その割りに犠牲者数は多くないことである。イスラエル建国以前の両大戦間のパレスチナでは、委任統治国の英国の施設へのユダヤ人過激派の時限爆弾攻撃がなされたが、原則としては直前の予告があった。今回もやはり爆撃前の予告があり、あれほどの激しい爆撃にしては死者数が抑えられているようだ ( 宣伝戦でも有利 )。

  今朝の『毎日』のコラム『火説』に元エルサレム特派員の大冶朋子氏が書いている。「当時ガザで取材していた私 ( が見たの )は、ハマスが病院や住宅街の下にトンネルを築いて身を隠し」、「爆弾を学校に、軍事拠点を海外メディアの居るビルに隠す.....『人間の盾』戦術だった」という。私も今回投石するアラブ人が少年ないしそれ以下の子供たちだったことを知っている。ある意図を感じざるを得ない。ヨルダン川西岸のPLOが動かないのもハマスの本質を熟知するからではないか。

  大冶氏は「『外野』の過激な言論を含め暴力は大抵『正義』の顔をしている。......市民の犠牲をいとわぬ者に正義が宿るはずもない」と、二つの正義の間で苦しむのは民衆であると結んでいる。

2021年5月14日金曜日

コロナワクチン接種の優先度

  一昨日午後、コロナワクチンを接種した。開始初日に接種できたのは申込日の5月6日に電話と別にインターネットによる申し込みを家人に依頼しておいたから。電話は予想通り不通続きだったと聞く。当日の接種会場は徒歩10分の駅前のビルで、開始直前にすでに20人ほどの先客?がいた。会場の準備が最初から最後まで完璧だったのはスタート初日という緊張感とともに、75歳以上の高齢者への配慮ということもあったのか。15日接種の家内の場合も変わらないと思うが.......。

  他の自治体の会場も多摩市と同様だろうと思っていたら、今朝のテレビは各局一斉に?、町長が特別扱いで当日接種したと報じ驚いた。今後他の自治体のケースも出そうだが、現在のところ茨城県の某町長と兵庫県の某町長がどちらも当日会場でキャンセルが出たとの連絡があり、接種したとのこと ( ワクチンは開封後6時間以内有効とか )。

  どちらの町長の弁解だったか、会場設置者の私は医療従事者の一員だからとの説明は全くいただけなかったが、私は両人への接種は何ら問題はないと思う。これだけ国民がワクチン接種を熱望している時にキャンセルされたワクチンを利用しないなど私には到底納得できないし、もし利用されずに廃棄されていたら今回以上にメディアは関係者を厳しく批判していたのではないか。南相馬市は日ごとの接種者を市が指定しているとのことだが、それでもキャンセル者は出るだろう ( もっと多数?)。

私が見た限りでは視聴者に番組中にアンケートを呼びかけたのはフジテレビだけだったが、町長への接種を優先したことへの回答は、是59%、非41%だった。気のせいか同番組での問題視の程度が以後弱まったと感じたのは私の僻目だろうが..........。

  

  

2021年5月10日月曜日

米軍立川基地に反対した人たち

  毎日新聞 ( 5月9日 )に、60年前の米軍立川基地拡張反対闘争に学生の身で参加し、現在も基地反対の立場を堅持する人の記事が載っていた。『己の道8』と見出しにあるので、同じように初心を堅持した人々の列伝かと思うが、他の回は記憶にない。

  立川基地拡張反対闘争と聞いても同時代人として記憶する人はもう多くあるまい。冷戦時代のさなか、米空軍が当時独占使用していた立川空軍基地を北側に拡張する計画を立てた。それに対し農民主体の地元民と急進的大学生たちが拡張反対を唱えて基地内に強行侵入した ( 砂川事件 )。事件を担当した一審の東京地裁の伊達秋雄裁判長は日米安保条約そのものが憲法違反であるとして無罪判決を下した ( 政府の上告を受けた最高裁が逆転有罪判決 )。

  記事の人は当時大学生で共産党員であったということだが、その後も最高裁判決を不服として闘ってきた。しかしその間、沖縄住民に本土の基地反対運動のおかげで基地が沖縄に移ったと言われ困惑したという。本土で嫌われた米軍基地を沖縄が受け入れさせられたのは事実だが、立川基地の場合、すぐ近くの横田基地がその役割を代替した可能性が高いのでは........。

  大学卒業後に立川基地拡張反対闘争に参加したと聞く友人がおり、クラスでは親しい方だった。その後長く交流はなかったが、卒業後20年あたりから始まった同窓会で再会して以来、年一回の交際が復活した。彼はその後も野党的立場を変えなかったが、両家の子女を集める有名な学園で教え、亡くなる前、中学部の校長だったと聞く。武骨で政治的立場を隠そうともしない彼を重用した学園も懐が深いと思う。

2021年5月8日土曜日

宇宙探索の新展開?

  先月末、中国が最初の宇宙ステーション ( の中核部分?)の打ち上げに成功した。すでに米国やロシアが先行しているならば、中国とて後塵を拝してばかりではいられないのだろう。

  人類の宇宙空間への挑戦は周知のようにソ連のガガーリン少佐の搭乗するボストーク1号が第一号で世界を驚かせ ( 当初はその意味すら素人にはよく分からなかった! )、米国を悔しがらせた。私はソ連時代末期にツアーの一員としてモスクワの産業博覧会?でボストーク1号を見たが、私のような閉所恐怖症の人間でなくともあんな身動きもままならない空間に乗り込みたい人は少ないのでは?

  それ以来の宇宙探索競争で他の惑星探索は国威発揚の目的だけでなく、将来の資源獲得や移住可能地発見をめざして水や酸素の存在を確認する努力にもなりつつあるようだ。しかし、地球の未来が温暖化などで必ずしも明るくないとしても、人類を受け入れるほどの水や酸素の豊かな惑星が存在するとも思えない。もっと地球の危機への対処に力を集中した方が良いのではと素人は思う。

  宇宙探索の唯一の正当化の可能性は地球が他の宇宙物体と衝突して人類が絶滅の危機に瀕する時だろう。かつて地球で栄えた恐竜類はそれが原因で滅びたと言われる。それでも数十億人の地球人が移住できる星も移住手段も考えられない。せいぜい、ブルース・ウィリス主演の米国映画『アルマゲドン』のように宇宙技術が地球を救う ( 危険な小惑星を爆破する )ことを期待するぐらいか??


2021年5月4日火曜日

コロナ禍雑感

  テレビのニュース番組を毎日開始時間から見ることが多かった私も最近は途中からが多くなった。開始後しばらくはどうせコロナ禍関係のニュースに決まっているから。そんな私でも午後3時にテレビをつけてその日の感染者数を知ろうとする。旅行も知人との会合も困難では感染者の増減を気にしないではいられない。

  十日ほど前ようやく市役所から夫婦二枚のワクチン接種券が送られてきた。75歳以上優先との市の方針のおかげらしい。当ブログで通勤族優先を訴えたくせにと批判されそうだが、矛盾するがやはり嬉しい。とはいえ実際の接種は5月中旬以後いつになるか分からない。せめて初夏までにと願うばかりである。

  欧米を中心とした先進国の中では日本の感染者数も死者数もきわめて少ない。しかし、それらの国々がワクチンのおかげでコロナ禍も峠を越えたかに見えるのに、我が国のワクチン接種数は大きく後れをとっている。やはり自国産のワクチンを持たぬ国の悲しさだろうか。その分野では我が国は先進国ではないのか!

  もう一つ当初から気になっていたのはニュースがまず東京の感染者数 ( 最近は大阪や兵庫も )を取り上げること。全国の合計値は集計が遅れることは理解するが、夜のニュースでも全国の感染者情報は東京や大阪ほどには優先して発表されない。私が地方在住者だったらさぞイライラするだろう。私は特別短気な人間なのだろうか?

2021年4月29日木曜日

『ポツンと一軒家』の魅力

  今日の朝刊に載ったビデオリサーチによるテレビ視聴率 ( 4月19日~25日 )によれば、テレビ朝日放映の『ポツンと一軒家』がNHKニュースに次ぐ堂々の2位となっている。この番組については本ブログで取り上げたことがあるかどうか記憶が定かでない。しかし、録画された同番組 (4月25日)を昨夜偶然見たので印象を記したい。

  同日の番組は通常の2倍の2時間放映だったので訪問先は二軒。前半は和歌山県の山中のゆづ農家で、かつてのみかん栽培は経営的に成り立たず瓶詰めのゆづ液で生計を立てている。家族は飲食店で働いていた東南アジア ( 国名は忘れた ) 出身の妻と男子中学生2人。ゆづの木は余計な枝の除去など樹上での作業が欠かせず危険も伴うが、妻も先頭に立って作業をしていた。

  番組後半は徳島県の一軒家で、長い山道を登って辿り着いた家は吉野川を見下ろす住まい。夫以外の家族は平野部の自宅に住む。テレビ局の協力で古い8ミリフィルムが上映され、何十年前の夫婦の結婚披露宴に数十人の親類縁者が着飾って山中の家に集まった様子が映し出された。夫婦にとっても久しく無縁となっていた記録だが、フィルムの存在すら知らなかった高校生?の娘は感涙にむせんでいた。

  一軒家と言っても当初からのケースもあれば、昔は数軒の小部落がいつか一軒残されたケースもあるが、電気はどんな山奥でも利用でき、道路も一応は舗装されている。しかし市町村道への何キロかは落葉掃除など自分で維持しなければならない。

  当番組の人気は不便に耐えて先祖の家と生業を守り続けている人たちの頑張りに心洗われる思いが理由なのではないか。この番組を構想したプロデューサーら関係者はすごいと思う。訪問先の家族がまさかの訪問に喜ぶ場面は住民への何よりの励ましだろう。

2021年4月23日金曜日

現代の『勇気ある人々』

  このブログで言及したことがある気もするが、ジョン・F・ケネディの上院議員時代の著書に『勇気ある人々』( 1967  日本外交学会。最近の別訳あり )がある。現在ではケネディの演説のゴースト・ライターのソレンセンの著と知られるが、世論に逆らって真実を訴えた人びとの物語である。いつの時代でもそうした「地の塩」のような人たちがいた。

  一昨日、元従軍慰安婦たちの対日賠償を求める訴訟をソウル中央地裁が却下した。同地裁では1月に日本政府に賠償を命ずる判決があったのだから逆転判決と言えるが、注目されるのは他国の判決は我が国に対し効力を有しないとの日本政府の主張や2015年の日韓慰安婦合意の有効性など、日本政府の主張をほぼ全面的に認めていることである。

  前兆と言えるかどうか、政権発足時に日韓慰安婦合意を破棄した文大統領が最近前言をひるがえしてその有効性を認めていたし、1月の地裁判決に今になって「すこし困った」と発言していた。それでも「親日」という言葉がマイナスのレッテル貼りとなる現在の韓国で日本との再交渉を命じた判事の見識と勇気には頭が下がる ( すでに激しい非難が。『読売』4.23 )。

  「中華民族の偉大な復興」を目標に掲げる習近平主席のもと、最近の中国の一方的な国権主張は目に余る。その最中に温家宝前首相がマカオ紙に寄稿した。文化革命時代の教員の父親の受難を回顧し、「私は貧者や弱者に同情し、侮蔑や抑圧に反対する」と強調。理想の国家像として「思いやりや人道、人間の本質に対する尊敬と青春や自由、奮闘の気質があるべきだ」と記しているという( 『朝日』4.21 )。明らかな習指導部批判と読める。その証拠にSNS上の関連する投稿は削除されたりしたという。今後政権から不当な扱いを受ける危険を冒しても、沈黙していられないと決意した前首相の勇気に敬意を表したい。