一昨日、元従軍慰安婦たちの対日賠償を求める訴訟をソウル中央地裁が却下した。同地裁では1月に日本政府に賠償を命ずる判決があったのだから逆転判決と言えるが、注目されるのは他国の判決は我が国に対し効力を有しないとの日本政府の主張や2015年の日韓慰安婦合意の有効性など、日本政府の主張をほぼ全面的に認めていることである。
前兆と言えるかどうか、政権発足時に日韓慰安婦合意を破棄した文大統領が最近前言をひるがえしてその有効性を認めていたし、1月の地裁判決に今になって「すこし困った」と発言していた。それでも「親日」という言葉がマイナスのレッテル貼りとなる現在の韓国で日本との再交渉を命じた判事の見識と勇気には頭が下がる ( すでに激しい非難が。『読売』4.23 )。
「中華民族の偉大な復興」を目標に掲げる習近平主席のもと、最近の中国の一方的な国権主張は目に余る。その最中に温家宝前首相がマカオ紙に寄稿した。文化革命時代の教員の父親の受難を回顧し、「私は貧者や弱者に同情し、侮蔑や抑圧に反対する」と強調。理想の国家像として「思いやりや人道、人間の本質に対する尊敬と青春や自由、奮闘の気質があるべきだ」と記しているという( 『朝日』4.21 )。明らかな習指導部批判と読める。その証拠にSNS上の関連する投稿は削除されたりしたという。今後政権から不当な扱いを受ける危険を冒しても、沈黙していられないと決意した前首相の勇気に敬意を表したい。
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