じつは我が国でも半世紀以上前に、日米安保条約改定に際し岸首相が自衛隊出動の可能性を打診したとき、赤城宗徳防衛庁長官が反対したため沙汰止みとなった。誕生したばかりの自衛隊を政治から出来るだけ離したいとの赤城氏の判断は賢明だった。原則論からすれば日米両国とも国民が選んだ最高指導者が任命した閣僚はかれに従うべきである。しかし何事にも例外はある。米軍を政治的対立から離したいとの願いは軍出身のゆえにむしろ強いのかもしれぬ。
その翌日?、31年前の天安門事件の犠牲者を追悼する香港住民の集会が本土に配慮する当局により禁止された。本土政府の要人が米国の黒人殺害事件を例に米国批判を強めている。しかし中国の要人が香港の自治侵害を批判すれば辞職どころか即重罪人となるだろう。
香港人がどれほど一国二制度を護ろうとしても本土との力の差は如何ともし難く、亡命しか道はないかもしれない。幸い、ジョンソン英首相は英国発行の「海外市民旅券」所持者35万人の英国滞在期間を延長 ( 半年→1年 ) するだけでなく、申請資格者250万人への「 将来的な市民権獲得」にも言及した。英国一国で受け入れ可能とも思えず、オーストラリア、カナダなどの英連邦諸国の協力も必要となろう。それでも旧宗主国の責任を多少とも果たそうとの意思は立派と言えるのではないか。
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