昨日の東京新聞の『本音のコラム』欄で師岡カリーム氏が複雑な胸中を吐露している。氏も「強権政治や私腹肥やしは許し難い」とする。しかし、大統領の来日に際して通訳を務めた氏は、「本音でしゃべるときの茶目っ気とユーモア」や「飾らない人柄」に接し、「政権は憎んでもムバラク本人は憎めなかった」。
人柄だけではない。氏によれば「強権的な警察国家を維持したのは事実だが、市民が喫茶店やバスで大統領を罵るぐらいの自由はあり、一部周辺国と比べれば風通しはよかった」。失脚後は国外逃亡しなかったのが評価され、同情する声も多かったとか。
ナセル、サダト、ムバラクと続いた軍部政権は世俗主義をとりイスラム教に特権的地位を許さなかった。「アラブの春」後成立したムルシー大統領も米国で大学教員だった経歴もあり、イランのハメネイ最高指導者ほどの狂信者ではなかったようだ。しかし、イスラム同胞団出身ということでイスラム過激派が勢いづき、人口の1割を占めるコプト教徒 ( キリスト教の一派 ) の迫害が横行した。その後ムルシー政権は軍部のクーデターにより打倒されたが、エジプト国民がそれに抗議して立ち上がらないのは政権側の軍事警察力だけが理由ではなさそうだ。
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