2020年3月10日火曜日

自虐映画『翔んで埼玉』

一ヶ月ほど前に録画した『翔んで埼玉』という映画 ( 原作は漫画 ) を観た。全国に知られているかは知らないが、首都圏では埼玉県 ( 民 ) はダサいということで「 ダ埼玉」と揶揄される。本当は東京都民が埼玉県を見下した言葉というよりも埼玉県民の自虐の言葉なのだが、ついに映画にまで昇華?された。

映画では、「都会指数」!に劣る埼玉県民と千葉県民は東京に入るため関所で通行手形を見せなければならないほど差別され、過去には「埼玉解放戦線」や「千葉解放戦線」の反東京闘争もあった。今回は東京都知事の息子 (二階堂ふみ ) と埼玉出身のヒーロー( GACKT ) が協力して東京に攻め入り、知事の不正を暴くという筋。これで埼玉県民の溜飲が下がるというものでもなかろうが、そこは漫画というしかない。もともと自虐の言葉が出発点なのだから。

私自身、二度埼玉県民だった。住宅難の当時は公団住宅への入居がうれしがられた時代。埼玉県の公団住宅への入居も数倍かそれ以上の倍率だった。所沢など数箇所にふられ、ようやく川口市の隣の鳩ヶ谷の1K住宅に潜り込めた。その6畳の居間兼寝室兼書斎に教え子の高校生数人が遊びに来た時には家内と幼児はキッチンにいるほかなかった。幸い三、四年後、東武東上線の上福岡団地の2DKに移ることができた。そのころ埼玉住まいを卑下する空気などまったく無かった。その後の東京の驚くべき発展が埼玉県民に自虐の言葉を発明させたのだろう。

映画で神奈川県民が特別扱い ( 関所がない!) されていたのは可笑しいが、幕末の開港地横浜を含む神奈川県は文明開化の発祥地ということか。たしかに文化施設や観光地の多彩さでは首都圏ではナンバーツーだろう。埼玉県民の自虐も分からぬではないが、それなら旧制高校は埼玉県 ( 浦和 ) にあっても神奈川県には無かった ( 確か!)。

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