2020年1月9日木曜日

トランプ氏を動かしたもの

米国がイランのソレイマニ革命防衛隊司令官を爆殺したのに対しイランが報復を宣言。世界が成り行きを案じていたところ、イランはイラクの米軍基地をミサイル攻撃した。イランは米兵80人を死去させたと主張するが、米国は人的被害なしと発表している。真相は未だ不明だが、両国とも世論の沈静化を図る本音は透けて見える。

直前にイランに対する軍事行動に否定的発言をしていたトランプ米大統領が突然前言を翻した理由は未だ明らかではないが、民放テレビの報道番組で元NHKのキャスターの木村太郎氏 ( たしか ) が、カーター元大統領の二の舞いを演ずることをトランプが恐れたためと発言していた ( 昨晩には在日アメリカ人ジャーナリストのモーリー・ロバートソンがほぼ同様の理由を挙げていた ) 。

1979年のホメイニ革命で王位を追われたイラン国王の亡命を米国が許したことを怒ったイラン国民の一部が、テヘランの米国大使館を占拠し館員52名を一年以上監禁した「大使館人質事件」に対しカーター大統領が無策だった ( 人質の安全を考えれば別の行動の仕様があっただろうか?) として二期目の大統領選でカーターはレーガンに大敗した。二期目の大統領選をひかえ何よりも再選を優先するトランプが年末31日、在イラク米国大使館が群衆に襲撃される様子を見て軍事行動を決断したことは大いにあり得る。

あるいはトランプが31日の大使館襲撃の様子に単純に怒りを覚え衝動的に決断したのかも知れない。いずれにせよソレイマニ殺害が賢明だったかは別にして、外交官や公館の不可侵性など500年間に成立発展してきた外交の規約や慣例を単に欧米人の勝手な産物と軽視するのは誤りである。それらは人類共同の貴重な遺産と考えるべきである。

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