2019年10月1日火曜日

香港人の苦悩

今朝の朝日新聞の『特派員メモ』に香港の抗議デモを取材中の記者の何とも切ない報告が載っている。報道用の装備で汗だくの取材中にカフェでコーヒーを注文したら客の一人が代金を払ってくれ、戸惑う記者に「香港のことをしっかり伝えてくれ」と依頼された。その直後に遅れて来た同僚がコーヒーを注文すると店員の女性が、「次は私の番。頑張って」と再びおごってくれた!

香港政府は抗議運動の発端の逃亡者条例を撤回したが、それ以上の一切の譲歩を拒んでおり、五大要求の貫徹を求めるデモ隊と警察の抗争には火炎瓶さえ登場してきた。政府があと一項目でも要求に従えばデモ隊の面目は立つのに..........。

天安門事件の再現はまさかとは思うが楽観はできない。本土政府の狙いは香港人の分裂だろう。百日近い対立による本土の観光客の減少や商店の営業困難などが経済界への打撃となれば世論も分裂しかねない。ここはあくまで秩序立った抗議にとどめるのが賢明だろう。

それにしても香港の事態を伝え続けるしか香港人の願いに応えられないのはもどかしい限りである。香港人だけではない。子どもに米国籍を与えるため米国で出産する本土人が少なくないという ( 『産経』2018. 11. 4 )。将来の亡命の準備である。住民から針一本奪わないとうたわれた人民解放軍が建国した国の70年後の現実である。

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