2019年7月29日月曜日

だれに「おもねる」のか

 NHKの報道姿勢が政府寄りで偏向しているとの批判はなんら新しいものではないが、今回の参院選で「NHKをぶっ壊す」と主張する党が国政に名乗りをあげ議席を得たことには驚いた ( 私は視聴率競争を重視せざるを得ない民放だけになって欲しくないので )。しかし、同党の「結党目的」を読むと前記のスローガンほど過激ではなく、「偏向是正」を目的とするわけでもないようだ。

昨日の『毎日』の読者投稿欄に「今のNHKは信用できない」との題の文章が載っている。投稿者は「現経営陣によるNHKを私は信用していない」「NHKのニュースを見る度に、政権におもねるも検閲が行われているのではないかとの疑念が湧き......」と書いている。しかし、メディアが「おもねる」対象がつねに政権と考えるのは単純極まる。メディアにとっては「世論」におもねる方がずっと容易である。新聞社にとっての購読部数、テレビにとっての視聴率はメディア各社の死命を制する。それに対する反論としてはテレビ局に対する放送免許の取消や不更新の危険があるが、現在の我が国で政治的理由による中央キイ局の廃止などできるとは思えない ( 内閣が吹っ飛ぶだろう ) 。

一時期、籾井勝人前NHK会長の政権に「おもねる」姿勢がメディアで再三批判された。私もNHKは政府の方針を無視できないとの意味の発言は問題だと感じた。しかし、のちに籾井氏の問題発言はNHKの国際放送に関してだと偶然知った。私は国民の視聴料で支えられるNHKの国際放送が対外的に政府批判を繰り広げるのはどうかと思う。

最近、上田良一新会長が板野NHKエンタープライズ社長を本社の専務理事に呼び戻した。しかし、『朝日』( 5月23日 )によると籾井氏は「 板野氏と政権との関係が強すぎる」として「1期2年で総局長を退任させ『彼を絶対に戻してはいけない。NHKの独立性が失われてしまう』と当時の朝日新聞の取材に対しても口にするようになった」とのこと。

私は上田、板野両氏について何も知らないので批判する気はない。しかし、『朝日』が籾井氏の自社の取材中の発言を当時報道せず、今頃明かすのは納得できない。

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