2019年7月23日火曜日

失敗は成功の母

メディアでここしばらく格好のテーマにされていた参院選挙が終わった。改憲を目論む三党の議席が3分の2に達しなかった事実を新聞各紙は強調しているが、いささか苦しい。モリカケ問題から始まり度重なる失言や年金問題を考えればむしろ与党の勝利だろう。

野党の不振の理由はいくつか考えられるが、何と言っても民進党政権の失敗が未だ有権者の記憶に残っていることが大きいだろう。しかし歴史上、保守派政権の無能や悪政を批判して政権交代を果たしたものの改革を実現できずに退陣した左派政権の例は珍しくない。

そうした先例の嚆矢と言えるのが1929年成立のマクドナルド内閣の失敗である。英国史上最初の労働党単独内閣は折からの世界恐慌という不運もあり分裂崩壊し、第二次大戦直後のアトリー内閣まで労働党は長い雌伏の期間を迎える。しかしその間、チャーチルの戦時 ( 挙国一致 )内閣に入閣して得た統治の経験を生かして戦後、世界最初の無料の医療保険制度 ( 今日でも外国人も無料。行き過ぎとの批判はあるが ) の導入など大きな改革を成し遂げた。失敗は成功の母ということだろう。

それにしてもナチスドイツを打倒した英雄のチャーチルを戦後ただちにお払い箱にした英国国民の冷静さ ( 政治的成熟 ) には驚く。現在のEU脱退問題をめぐる混迷が嘘のようである。国際統合と国家主権の間の妥協はそれほど難しいということなのか.........。

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