日韓関係は底なしの悪化をたどっている。わが国が韓国の必要とする半導体関連品の輸出に制約を課した ( 輸出禁止ではない ) のに対し、韓国の朴政権が我が国と結んだ慰安婦財団の合意の破棄を実行に移した。
前大戦中の韓国人徴用工の日本企業への補償要求を同国の最高裁が正当と判決したのに対し、日本政府が日韓間の解決済みの問題を蒸し返す判決として是正を要求したが、文在寅政権は言を左右にして応じなかった。韓国も三権分立の国でありむやみに司法部の決定に干渉できないとの韓国政府の主張には、それなりの論理が通っていた ( 国際法上の問題を別とすれば ) 。しかし両国の合意に基づく措置を一方的に破棄する今回の韓国の決定は明らかな国際法違反だろう。
わが国の韓国への輸出制限は日本経済にとっても打撃となる可能性がある上に、WTO ( 世界貿易機構 ) が日本に不利な判定を下す可能性は大きい ( WTO は自由貿易に有害か否かにしか関心は無いだろう ) 。それでも安倍政権が輸出制限措置を発動するのはトランプ政権の暗黙の支持 ( ないし理解 ) を感じているからでは無いか。
昨夜のBSフジの「プライムニュース」で二人の経済評論家 ( 真田幸光、鈴置高史 ) は、今の日韓関係は米韓亀裂の反映との意見を述べていた。米国はいまや非友好国となった韓国に半導体の多大なシェアを委ねる危険を感じているのではないか。ドル債務の多い韓国にとり日韓間の不和はウォン貨の下落を招くだろう。それでもよいのかとの米国の不快感のシグナルではないか。
両氏の予想が正しいかどうか私には分からない。しかし最近文在寅大統領が朝鮮戦争当時の北朝鮮の将軍を称賛したとの報道は私を驚かせた。短気なトランプが北朝鮮の核廃棄と米軍の韓国撤退を取引する可能性は皆無ではあるまい ( 中国は大歓迎だろう )。何事も損得で判断するトランプには「駐留なき同盟」は魅力的だろう。北朝鮮の影響力が半島全体に及ぶことは歴代の米政権にとっては悪夢だったが、トランプがそう感じるかは確かではない。少なくとも文在寅政権は反対しないだろう。文氏は朝鮮戦争への米国の介入を迷惑なことだったと考えているのではないか。わが国もそうした将来も見据えなくてはならないだろう。