21世紀の世界で今回のような全く無関係な人々に対する凄惨な手口の犯行に弁解の余地はない。しかし、異教徒や異端派に対する蛮行は史上数多くあり、特定の宗教や民族に限られない。キリスト教世界にも中世以来宗教戦争は絶えなかった。本ブログで先日偶然言及したフランス南部の異端派 ( カタリ派 ) と正統派の宗教戦争もその残虐さは相当だったと聞くし、十字軍が聖地エルサレムで異教徒に蛮行を働いたことは事実のようだ。
それでも現代の欧米や我が国で今回ほどの凄惨な事件は考えられない。特定の宗教や民族性と蛮行との親近度がゼロとは私は思わないが、主たる理由は多くの途上国と欧米や日本との歴史的発展段階の差だろう。そしてその段階の差はまだまだ簡単に埋められないだろう。
あまり自覚されていないようだが、我が国とヨーロッパでは日本の方が人種や宗教に起因する暴力に対し安全度は高い。『東京新聞』(4月22日)の「ハーフと向き合う」という特集記事でスウェーデン人とのハーフの子育てをするノンフィクション・ライターの山本真弥氏は、「子育ては、しばらくは日本でする予定です。日本は子育てがしにくい国ではないし、医療体制も整っています。何より日本は安全です」と語っている。北欧諸国といえば人権が尊重される最も安全な国と思われがちだが、数年前、人種問題に発するテロで20~30人?の死者が出た。
何年か前、保育園に子供を入れられなかった母親が、「保育園落ちた。日本死ね」と発言して話題となった。私に我が国の母親の困難は所詮実感できないし、多少過激でも発言の自由は何よりも守られなければならないが、もう少し世界に目を向けて欲しいとは思う。
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