2018年10月19日金曜日

公立中高教育の破壊?

今朝の『東京新聞』の「本音のコラム」に元外交官で作家の佐藤優氏が、「受験刑務所化する中高一貫校」について書いている。埼玉県立浦和高校出身の氏が母校でおこなった講演の報告記である。

浦和高校は埼玉県随一と言ってよい歴史を持つ名門校である。現在の首都圏の私立中高一貫校ブームの中でも例外的に高い評価を得てきた県立校だろう。ところが同校は東大合格者日本一を続ける開成中学高等学校とまともに競合する所在地にある。台東区日暮里にある開成校は東京の下町とともにJR総武線やJR京浜東北線の沿線をヒンターランドにしている。佐藤氏としては母校擁護のため一肌脱ぐのは当然だろう。

氏はむろん特定校ではなく私立中高一貫校を問題としている。氏によれば最近の後者では、中学の最初の2年間で数学の成績が芳しくない生徒は一流私大をめざす組に入り、早い段階で理数系授業から遠ざかる。逆に数学に強い生徒は歴史など文系の授業に身を入れないですむ。氏はそうした趨勢を「受験刑務所化する中高一貫校」と名付けて警鐘を鳴らす。

まったく正論であり、私も同感する。しかし、公立の中学や高校に徹底した受験教育ができない以上、一流大学を目指す生徒たちの親たちが氏の言に耳を傾けるとも思えない。それなのに政府自民党は私立の高校の授業料を無償にする方針という。借金に借金を重ねている政府のやるべきことだろうか。

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