2017年1月13日金曜日

在日韓国民団と少女慰安婦像

今朝の朝日新聞に在日大韓民国民団の呉公太団長が12日の新年会の挨拶で釜山の日本総領事館前の少女慰安婦像の撤去を訴えたとの記事が載っている。呉氏は一昨年の日韓合意を「英断と評価している」とした上で、「今回設置された慰安婦少女像はなくさなければならないというのが在日同胞の共通の考えだ」「この問題で一番の被害者は在日同胞だ」として撤去活動に取り組むという。日本大使らの一時帰国や通貨スワップ再締結協議の中断といった日本政府の対抗措置については「大変厳しいが、早く問題解決してほしいという日本側の思いも理解できる」とする。他の全国紙や『東京新聞』のうち『産経新聞』だけがこの件を報道しており、記事の扱い方は『朝日』よりやや大きいが、「私たち同胞はまたも息を殺して生活しなければならないのか」との内容はほぼ同じであり、両紙の報道は正確と判断できる。

慰安婦像が一種のヘイトスピーチだと考えている私には民団長の発言はようやくという感じだが ( ソウルや国の内外の像には言及していない ) 、どれほどの躊躇や葛藤の末の発言かは想像にあまりある。そもそも韓国の大統領は金大中氏まで来日時に民団代表と会いもしなかった。在外同胞への同情どころか、故国が苦しかった時に共に苦しまなかった人たちとでも考えているのではないか。ある時期から在日コリアンたちが「在日」を強調し出したのは本土の韓国人が自分たちを「半日本人」扱いすると気づいたからではなかろうか。慰安婦像撤去への在日コリアンの願いに韓国の政治家やメディアはどう応えるだろうか。

たしかに現在の在日コリアンの大多数は「強制連行」の被害者たちの二世三世ではなく、大戦後の韓半島の政治状況 ( 済州島事件など ) と経済状況 ( 先に帰国した同胞の「日本の方がマシだ」との連絡 ) などで日本に渡航したり残留したりした人たちの子孫であるとは在日コリアンに協力的な研究者も認めている ( 福岡安則 『在日韓国・朝鮮人』中公新書 1993 )。それでも就職差別に代表される外国人ゆえの困難を経験してきた人たちである。

それにしても800人の集会に『朝日』と『産経』以外の社の記者が居なかったはずがない。両紙以外の編集デスクは在日コリアンの願いを何故黙殺したのだろうか。少なくとも在日コリアンの理解者とは私には思えない。

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