2015年12月4日金曜日

英国の対イスラム国 ( IS )空爆強化

英国下院がイスラム国空爆をこれ迄のイラク限定からシリアに拡大する動議を可決した。直接にはパリの同時多発テロの衝撃がなせるわざだろうが、英国自身も先日のチュニジアのホテル襲撃事件で同胞を30人殺された事実も伏線となっていただろう。

動議採決に際してヒラリー・ベン労働党「影の外相」が、「私たちが直面しているのは、寛容の精神や民主主義を軽蔑するファシストたちだ。英議会がヒトラーやムソリーニに立ち向かった時のように、人権の否定を許さず、そして正義のために、我々はこの悪に対抗しなければならない」と発言して「大きな拍手」を浴びた (『朝日』12月4日 )。

ISをファシストと呼ぶことに抵抗感を持つ人は少なくないかもしれない。今回の英国下院の決定への評価は歴史が下すだろう。しかし、IS構成員の非人間性がナチスに劣らないことは間違いない。

最近上映されたヒトラー暗殺を独りで企てたドイツ人を描いた映画を見た人は少ないかもしれない。私は見ていないし、史実としても初耳だったが、当の暗殺未遂犯人が敗戦近くまで獄中ではあるが生存していた事実は、以前のブログで紹介した共産党のテールマン党首のケースと同じである。仮にもドイツが民主共和制を経験していた国である事も無関係ではないのだろうか。

第二次大戦開始前の数年間フランスで首相や参謀総長や野党党首を務めたVIP数人は、1940年のフランス敗戦後開戦責任を追及され、ドイツの強制収容所に送られた。フランス人も世界も彼らが生存しているとは思っていなかったろうが、ドイツ敗戦時ドイツ国内を逃避中に米軍に発見された。収容所内でも彼らは、戦前にドイツの脅威を忘れて愚かな政争に耽ったことの反省を語り合っていた。

ナチスによるユダヤ人虐殺が20世紀の最大級の犯罪であることは明らかである。しかし、ナチスドイツがスラブ民族相手の東部戦線と仏英米を相手とした西部戦線で別種の戦争をした事実はそれほど一般に知られていない。スラブ民族の捕虜と西欧民族の捕虜の扱いは対照的で、前者の扱いは非人道の極みだったが、後者の扱いは文明国間の通常の捕虜処遇と大きくは異ならなかった。彼らの人種理論に忠実だったといえばそれまでだが..................。

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