2015年12月25日金曜日

瀬戸内海の水質改善が悩み?

毎日新聞に瀬戸内海の水質の「貧栄養化」が問題となっているとの記事があった ( 12月24日 )。隔世の感とはこういうことを言うのだろうと思った。

今から40年ほど前、沿岸地域の工業化による瀬戸内海の水質汚染が問題になっていた。工場排水や住民増加による生活排水の増加により瀬戸内海の「富栄養化」が進み、赤潮などの被害が拡大していた。当時、沿岸の大製鉄工場に勤務していた高校時代の友人を訪ねたことがあったが、瀬戸内海は東も西も狭い海峡が出口で、外海と海水が入れ替わることは殆ど期待できないと嘆いていたことを思い出す。そうして1973年に水質規制の法律が作られた。

ところが今では瀬戸内海の水質汚染が後退した結果、海水の「貧栄養化」が進み、そのため漁獲量は46万トンから20万トン以下に減少し、アサリに至っては100分の1に減ったという。アサリの漁獲量は各地でも減少しているので原因は単純ではないかもしれないし、他の漁獲量の減少も開発による藻場や干潟の減少も原因の一つと考えられるという。しかし、今年10月、「瀬戸内海環境保全特別措置法」が施行されたというので、海水の「富栄養化」が過去のことになったのは事実なのだろう。悩みの質が変わったのである。

現在、地球温暖化問題で最大の課題となっているのは炭酸ガスの増加である。地球人類の生活向上がエネルギー消費の増大を招くことは明らかで対策が急がれている。エネルギーの過剰消費の抑制とともに、未だ実用化には程遠いと見られる炭酸ガスの地中への封じ込めなど画期的な技術の開発に成功して欲しい。瀬戸内海の「富栄養化」が阻止されたように。

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