2015年10月31日土曜日

紅葉派と桜派

今朝の朝日新聞の土曜版beの記事 (「between   読者とつくる」。 意味不明!) に、「秋の紅葉、春の桜、心にしみるのは?」とのアンケート結果が載っている。私も家内も当然桜派が優勢だと思ったら、紅葉派49%、桜派51%と全く拮抗していたので意外に思った。

なにも日本人なら国花の桜 ( 菊?)と決めてかかった訳ではなく、桜がより美しいと思うという単純な理由なので、秋の紅葉の美しさを選ぶ人が多くても不思議はない。特に日本の紅葉はかえでなど赤系統が多い。カナダ東部のかえでの紅葉は日本以上に赤一色らしいが ( 私はメイプルシロップを愛用 !)、一般には黄色系の紅葉 ( 矛盾した言い方だが )が外国は多いようだ。九月下旬のスコットランドの紅葉も赤色系は皆無に近かった。これほど寂しい土地が有ろうかと思うほど人の気配が無く、「寂しさの果てなむ国」との語句が頭に浮かんだ ( 逆の意味らしいが )。

桜は日本のいたるところに名所がある。私が訪ねた限られた数の場所では、ベストの季節ではなかった吉野山は除き、弘前城公園の桜 (複数の樹種 )と高遠の桜 (小彼岸桜 ) が雪山を背景にして最も美しいと感じた。これには、ソメイヨシノよりも濃い色の桜花を私が好むこともあろう。したがって各地のソメイヨシノの名所よりも東北地方の山中に咲く紅山桜に心惹かれる。

住宅建設などで「最近近所の桜がどんどんなくなります」と、いつの日か桜が希少になる恐れを指摘した読者の声も紹介されているが、杞憂だと思う。戦後、自分の周囲を美しくしたいと願った人びとが植えた桜がいまや大きく育っており春の東名道を行けば、少し誇張すれば桜花が途切れることがないとの印象である。今春あたり東京の桜を訪ねる外国人がひときわ多いと感じた。今後も彼らを失望させる事はないと信ずる。

2015年10月29日木曜日

訂正

前回のブログで小渕首相が総裁選によらず党幹部の話し合いで総裁に選ばれたと記したが間違っており、橋本首相が参院選敗北の責任を取って辞職したのち総裁選で選出された。同じようにマスコミの揶揄の対象になった森喜朗氏との混同でした。ちなみに小渕氏は外相時代に官僚の反対を押し切って対人地雷禁止条約に日本を参加させた。

2015年10月27日火曜日

先入観は禁物

今回のマンション不祥事をきっかけに昔懐かしい?ヒューザーの名前がメディアに再三登場した。十年ほど前、耐震偽装の建物を建てたとしてマスコミに一時散々に批判された会社である。私も大半のメディアと同様に、気弱な建築士が注文主の建築会社の意向に抗しきれず不正に加担したのだろうと考えた。いかにも有りそうな話であり、ヒューザーの小嶋社長の悪相と乱暴な言葉使いがそうした印象を強めた。しかし結局、不正な設計をしたのは姉歯建築士の側だと判明した。ヒューザー (と熊本の木村建設 )はむしろ被害者だったのであり、両社はそのためもあって倒産したと聞く。あってはならない「冤罪」事件だった。

以前、小渕首相は自民党内の総裁選によらず党幹部の「密談」で選ばれたというのでメディアはこと毎に首相を揶揄した。しかし残りの任期の担当者を幹部の話し合いで選ぶのか選挙で選ぶかは状況によりその党が決めることだろう。小渕首相の急死がメディアの責任だとは言わないが、全く無関係だと言い切れるかどうか。小渕氏がそれまでの自民党の首相たちより劣っていたとは私には思えない。

その昔、美空ひばりもメディアに冷淡な扱いをされた。私は歌手としての彼女をよく知らないし、知っている僅かな歌も一二の例外を除けば好きでもないが、弟の不祥事 (  暴力団との交際? ) が彼女を叩く口実に利用されたとの印象は拭えなかった。彼女が魚屋の娘だったことが影響したとは信じたくないが..........。最後には彼女の実力をメディアも認めざるを得なくなるがそれまでに長い時間が流れたようだ。

人の評価は棺を蓋って初めて定まると聞く。それは我々がいかに他人の評価を誤り易いかということでもある。存命中に正当に評価されず、後世の歴史家による修正に待つというのでは淋しすぎる。

2015年10月22日木曜日

訂正

前々回 (20日 )のマンションのパンフレットの小見出しの言葉は「後でわかる違い」ではなく、「後で分かるクオリティー」でした。それにしてもブラックユーモアでした。

自動車の信頼度

米国の『コンシューマー・リポート』誌の自動車ブランドの信頼度調査でベストテンのうち5社を日本が占めた。特に1位レクサス、2位トヨタ、4位マツダ、5位スバルとベスト・ファイブのうちの4社が日本製だった ( ホンダは8位 )。

ドイツ車はアウディが3位、ミニ ( 製造地は英国だがBMW社に数えてよい ) が10位。他に韓国車がキア6位、ヒュンダイ9位と健闘している。肝心の米国はGMのビュイックが7位に入っているだけ。

日本車万々歳と言いたいところだが、販売台数や魅力度といった人気指数とは必ずしも一致しないだろう。それにしても立派な成績ではある。ディーゼル・エンジンにケチがついたので日本車の地位は当面は安泰だが、画期的な電池が発明されれば形勢は一変するので安心はできない。

同じ朝刊にトヨタ車のリコールが報じられている。大衆車のドアスイッチの不具合の他に、クラウンのボンネットが時速140キロ以上で開く恐れがあったという。クラウンはトヨタを現在の地位に押し上げた車と言ってよい。精魂込めて作っている筈でも不具合は避けられないようだ。

欠陥とは違うがニュージーランドでレンタカー (マツダ車だった ) を借り、直線路で速度を上げたらガタガタ異音がした。止めて調べたらボンネットがしっかり閉まっていなかった( 整備不良 )。危うく大事故にならなくて済んだが、日本での数回の経験では考えられなかった。カウンターの担当者は女性ならたちまち好意を持ちたくなるような好青年だったのに!

2015年10月20日火曜日

大企業の不祥事

このところ国の内外 ( 国内外などと昔は言わなかった!) の大企業による不祥事が頻発しているが、マンションの手抜き工事の発覚に至って頂点に達した観がある ( まだまだ?)。もっとも私が読む新聞やテレビ番組は東京発や東京版なので、例えば関西のメディアでも大きく扱われているかはわからないが。

遡ればきりが無いだろうが東芝の不正経理あたりからか。この件は法的には犯罪なのだろうが被害者はせいぜい株主中心であったし、タカタ社のシートベルトの不備は犯意があったとまでは言えないだろう。ワーゲン社の場合は単なる過失ではなく購買者を騙したことになり、莫大な補償金支払いは無論のこと、裁判で責任追及されるかも。関係者が三十人にも及ぶとの報道もあり、超一流企業の所業とは信じられない思いである。

超一流企業と言えば三井不動産 ( レジデンシァル ) も業界では三菱地所と並ぶ巨人だろう。入居者は何よりも同社の信用を買ったと言っても言い過ぎではあるまい。それが手抜き工事だったでは許せない思いだろう。約束の完成期限に追われて (子供の入学など ) との説も聞くが、三井住友建設、日立ハイテクノロジーズ、旭化成建材と下請けのピラミッドが責任感の低下を招いたと言っても言い過ぎではあるまい(たとえ丸投げではなかったとしても)。テレビによると同マンションの宣伝パンフレットは施工時の厳しい工事監督を特記しており、その小節の見出しは「後になってわかる違い」だった。なるほど言い得て妙と言うべきか!

法律的には企業は株主のものなのだろう。しかし、米国でさえヘンリー・フォードを始め資本主義勃興期の企業家は利潤追求だけが目的ではなかった。社会も従業員も重視する経営が最後の勝利者であることをトヨタをはじめとする日本企業が世界に示して欲しい。

2015年10月15日木曜日

南京虐殺が世界記憶遺産に!

ユネスコが世界記憶遺産に中国が申請した「南京大虐殺の記録」を登録したことに対し菅官房長官が「南京事件の政治的利用」と反発し、分担金支払いの支払いを停止することを検討するとの考えを示した。

我が国にとっては不愉快な決定だが、原田義昭なる自民党の国際情報検討委員長の「南京大虐殺、従軍慰安婦の存在をわが国は全く否定しようとしているにもかかわらず」というのは誤解を生む。慰安婦問題はさておき、官房長官は南京虐殺を認めており、決定の経緯が一方的であることや歴史の政治的利用を非難しているのである。

これに対し、松浦晃一郎ユネスコ前事務局長が分担金支払いの停止に強く反対するのは、前職との関係も否めないが妥当なところだろう。米国はパレスチナのユネスコ加盟を理由に分担金支払いを拒否しているし拒否は珍しいことではないが、歴史的事件の資料の遺産指定に同じ態度をとるのは世界の共感を得られまい。

それでも日本人が不愉快に感ずるのは、中国が主張する犠牲者30万人説や東京裁判の20万人説が事実とは思えないからだろう。少し古いが秦郁彦氏の『南京事件』(中公新書 )は約4万人という数字を妥当としている。これは約30年前の研究結果であるが、昨日の東京新聞の「本音コラム」欄で文芸評論家の斎藤美奈子氏は「最近は4万人説が有力らしい」としている。同氏について私はよく知らないが、朝日新聞の書評委員をつとめ、東京新聞でも今回の政府自民党の対応を批判しているので、いわゆる歴史見直し派ではあるまい。

以上とは別に、国連の分担金 (  ユネスコもこれに準ずる ) が米国2割、日本1割で各々1位2位というのは日本人として納得できない。私は我が国の安保理の常任理事国入り要求を必ずしも賛成しない (  軍事力の提供の用意が国民に果たしてあるのか?)が、旧敵国条項を改正しない国連に五常任理事国より多額の分担金 (米国を除く )を払うのはおかしな話である。

2015年10月11日日曜日

フランス語圏スイスの旅

BS放送で「欧州鉄道の旅」という番組 ( 10月1日 )を10日遅れで録画で見た。題材に事欠いてだろうがBS放送は旅行番組だらけでたまにしか見ないが、今回はスイスが主題というので見る気に成った。

スイスと言えばアルプスや牧場の画面を想像していたら見当外れで、ジュネーヴからバーゼルまでフランスとの国境のジュラ山脈の東麓を走る路線の旅だった。私はフランスに帰るため二度この地方を車で横切ったことがあったが、この辺一帯はじつはスイス時計の産地が連なっている地方で、住民はフランス語を話す人びと。極小の部品を製造し組み立てるおそろしく忍耐強い作業をこなす人びとを見て、ラテン民族は陽気だが多少チャランポランなところもある人たちという私の偏見は粉砕された。途中のラ・ショー・ド・フォンは世界的建築家ル・コルビジェの生地で、若い頃の彼が設計した家が三軒ほど紹介された。しかし後年ピロティ式建築で有名な彼の作品だがその片鱗もなかった。大きいと言っても個人住宅だからか、ピロティ式はその後の構想だからか?

終着のスイス第三の都市バーゼルはライン河中流の商工業都市だが、大聖堂をはじめ古くからの名所もある。そのひとつ、ライン河を見おろすテラスは私も1967年と1993年の二度訪ねているが、其の間何の変わりもなかった。その筈で、200年ほど前の古い版画の風景と、対岸の遠方の煙突を除けば変わりがないのだから20年くらいで変わるはずもない。

バーゼル駅で午後遅くパリ行きの列車に乗り、深夜前にパリに帰着した。当時のパリでは夜遅くは地下鉄は物騒で利用しない方が良いとも聞いており、大きなトランクを抱えての利用は気が進まなかったが仕方がなかった。フランス人 ( 白人 ) は乗客の半分もいなかったが、郊外の住居まで何事もなく帰り着いた。

2015年10月8日木曜日

吉祥寺と恵比寿

吉祥寺が住みたい街ランキングの常連の一位から退き、恵比寿が代わって首位に就いたと新聞に出ていた。だが、いくつかの調査のうちの一つの結果に過ぎないようだ。また、街といってもどの範囲を指すのかで評価は変わるだろう。

吉祥寺は大学入学直後一年間下宿した街であり、30年以上マイカー出勤でない時の通勤の最寄駅 ( 私にとっては ) だったので、その良さは理解しているつもりである。駅のすぐ近くに井之頭公園があるのも強みで、又吉直樹の『火花』に出てくる飲み屋やカフェは利用しなかったが、懐かしい名前ではある。

それに対し恵比寿は、ビール工場の跡地が再開発された「ガーデンプレイス」が話題を呼んだ当時、二、三回訪ねた程度。勤務先の忘年会 ( クリスマス祝会というバタくさい名前だったが ) が若い人たちの主導で毎年東京の新名所や新ホテルを選んで催されることが多かったのでガーデンプレイスを知った。そこは確かに洒落て魅力的な場所だったが、プレイスの周辺の街が住みたくなるほどの街なのかは私には分からない。

それでもガーデンプレイスのすぐ近くに通称「アメリカ橋」と呼ばれる橋があり、山川豊のヒット曲『アメリカ橋』のモデルとなった。平尾昌晃作曲のメロディーも都会的で軽快で大好きだが、山口洋子の詞は嘗ての恋人同士が橋のたもとで偶然再会したときの懐かしさとかすかな後悔?を歌って心にしみる。名作と言われる多くの歌詞を残した山口洋子だが、私の知る僅か数曲の範囲では最上の歌詞だと思う。現実のアメリカ橋は米国での博覧会の橋を移したものと聞く。とくに美しいという程ではないが.................。




2015年10月7日水曜日

ノーベル賞と川奈

一昨日の大村智氏と昨日の梶田隆章氏と日本人のノーベル賞受賞が続いた。むろんお二人には最大級の賛辞を呈したい。もしかするともう一人くらい受賞するかも! ただ、理想を言えばノーベル賞受賞が珍しくなくなり、これほどの騒ぎにならない日本であって欲しい。

受賞後の二人の発言はどちらも謙虚さが際立っていて立派だったが、一貫して人のために役立つことを目指したという大村氏と、「知の地平を広げる」ことを目指したと語った梶田氏と、研究目的は対照的だった。物理学賞の研究も江崎ダイオードや青色ダイオードのように結果として大いに社会に役立つことはあっても、研究の動機はあくまで未知の物質世界の解明なのだろう。医学生理学賞にも無論その面はあっても実用をも目指すことは、二年前の山中伸弥氏がiPS細胞が治療や製薬などに役立たなければ私のこれまでの研究は何の意味もないと言い切ったとき私も理解した。今回の両賞受賞は両面で貢献したことになり素晴らしい。

大村氏の今回の受賞の原因となった菌は伊豆の川奈ゴルフ場あたりの土から採取されたという。たまたま静岡県を訪ねていた私は昨日朝のNHK静岡のニュースの冒頭が川奈への言及だったことに驚いた。大村氏が山梨県出身とあれば富士山人気を競っている静岡県としてはこれで行く他なかったのか??

じつは一昨日私は川奈にいた ( だから何?)。川奈ホテルに泊まったのでも無ければ川奈ゴルフ場でプレイしたのでもなく、ホテルのすぐ近くの「伊豆高原ステンドグラス美術館」を訪ねていた。私の知っている日本の教会の礼拝堂はむしろ簡素な美を意図したものが多かったようで、それも無論ひとつの見識だが、ステンドグラスいっぱいの礼拝堂も悪くはなく、むしろ小半刻ヨーロッパにいる気分になった。一見を勧めたい。

2015年10月3日土曜日

フォルクスワーゲン社の判断ミス

ワーゲン社が米国の排ガス規制を逃れるため不正を働いた理由は明らかになってきた。米国のNOXガスの規制値はEU諸国や日本の倍も厳しいという。現在は他社は不正を働いていないと表明しているが、そのうち一社や二社は同じ不正を指摘されないとも限らない。

自動車生産台数が今年はトヨタを抜いて世界一となると予想され絶好調だった同社には米国は最後の決戦場と映っただろうが好事魔多し、そこに陥穽がひそんでいた。ワーゲン社の車は堅実な小型車として知られるが、米国の国土は広大で道路も駐車スペースも広い ( だいいち小型車は米国の風景に似合わない!)。ヨーロッパや日本では望ましい車でも元来ガソリン価格が安い米国では魅力的ではない。少し原油価格が低下するとたちまち大きく重いピックアップ型トラックを買いたがる米国人気質には合わない。大型車は地球環境に悪いのだが正論を言っても米国人には通用しない。自動車の嗜好には国民性が反映する。台数を稼ぎたかったらやはり中国に注力するのが無難だった。

日本では現在ワーゲン社はディーゼル車を売っていないが、排ガス規制が厳しくなかった初代ゴルフの頃は日本でもディーゼルゴルフが売られており ( 30年以上前!)、一時期私も愛用した。エンジン音の大きな車で、勤務先から帰宅する時、門衛所の人たちがニヤニヤ笑っていた (私の思い過ごし? )。今はエンジン音もガソリン車に近いようなので、排ガス問題さえクリアすれば環境問題への回答のひとつではあり得る。それにしても日本のメーカーは内心喜んでいるのでは?